著者
古川 清治 内保 顕 内田 敏仁 伊藤 一郎 吉田 恒行 上林 史朗 阿部 清一 古角 雅行
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.276-283, 1999-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

ごみ焼却残渣の溶融施設から排出されるばいじん (溶融飛灰) 中の重金属の安定化手法として, リン酸処理方法について検討した。溶融飛灰原灰および, これにリン酸を添加, 混練りしたリン酸処理灰について, 各種溶出試験によりPbなどの重金属の溶出挙動を調べるとともに, 処理灰の化学形態を調べた。各種溶出試験の結果から, pHや液/固比によらず, リン酸処理灰は原灰と比較してPb, Cd, Zn, CuおよびCaの溶出が抑制されることが明らかとなった。また, リン酸処理灰の形態調査の結果から, 処理灰中には, 化学的に安定な鉱物であるPb5 (PO4) 3Cl (クロロピロモルファイト) が検出された。
著者
古角 雅行
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会誌 (ISSN:09170855)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.46-59, 1994
被引用文献数
13 1

ごみ焼却炉から排出される飛灰の処分方法として, 厚生大臣が指定した4つの方法に関し調査検討を行った。これらの方式は, 主たる目的である重金属の溶出防止についてはほぼ同等の性能を有するものの, 処理物の長期安定性, 減容化, ダイオキシン類の除去, さらには資源化の可能性について考慮した場合, 溶融固化が唯一対応可能な技術と言える。この溶融固化法は, これらの利点を有する一方において, 実用化に当たっては溶融飛灰や排ガスの処理さらには経済性に関し, 多くの課題が残されていることも事実である。<BR>調査の進展に伴い, 残された課題の一部について解決の兆しが見えつつある。しかし, 焼却灰との混合処理の可能性, 分散処理か集中処理かの選択, 広域処理や廃棄物処理センターとの関連性に加えて, 公害対策設備の再構築等々, 今後の中間処理の有り方を総合的に見直す必要性が問われている。