著者
石橋 憲明 岡島 重伸 吉原 福全 西脇 一宇 平岡 正勝
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.17-26, 2003-01-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
15
被引用文献数
2 1

本研究では, 流動床式小型実験炉を用いた模擬RDFの燃焼実験, ならびにその燃焼排ガスを用いた流動反応管による飛灰加熱実験を行い, 廃棄物燃焼ガスの冷却過程におけるPCDDs/DFsの生成 (二次生成) について, ガス温度や内壁温度, 飛灰の付着性の観点から検討を行った。その結果, PCDDs/DFsの二次生成は燃焼ガス中に浮遊する飛灰ではなく, 壁面に付着した飛灰が関与した反応であり, 慣性や熱泳動により飛灰付着量が多くなる場所からのPCDDs/DFs生成量が多いことを確認した。また, 二次生成に起因したPCDDs/DFsの生成量は燃焼ガス中のHCl濃度に比例し, ポリ塩化ビニル (PVC) やポリ塩化ビニリデン (PVdC) のような塩素系プラスチックのみならず, NaClもPCDDs/DFsの塩素源になることを明らかにした。さらに, Cu含有量が少ない飛灰では, 飛灰堆積部温度が約200℃でPCDDs/DFsの生成はほとんど認められないのに対し, 約300℃ではPCDDs/DFs濃度が増加した。一方, 飛灰中にCu含有量が多い場合は, Cu含有量が少ない場合に比べ著しくPCDDs/DFs濃度が増加し, 約200℃の温度域でもPCDDs/DFs濃度の増加が認あられた。
著者
舟木 賢徳 安田 八十五
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.7, no.6, pp.320-329, 1996-11-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
17

レジ袋の有料化方式についての御殿場市の一般市民へのアンケート調査では, レジ袋を有料化した場合の賛否は, 反対が20.6%に対して賛成が78.1%と賛成が圧倒的に多かった。また, 一般市民へのCVM (仮想市場法) によるアンケート調査では, 5円の有料化が実施された場合, 16.9%の市民が買物袋を持参するとし, 10円だと44.2%の市民が買物袋を持参すると回答している。これに対して, 実際に有料化している店舗では, 5円の有料化では来店者中の73.2%の消費者が買物袋を持参し, 10円だと91.8%の消費者が買物袋を持参している。CVMによるアンケート調査結果との比較では, 5円では56.3%の差が, 10円だと47.6%の差がある。つまり主として仮定バイアスとCVMの回答方法が選択肢回答方式 (open-ended question) であるために, CVMの方が約5~6割低いバイアスが観察された。
著者
沼田 大輔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.6, pp.353-363, 2008 (Released:2009-04-01)
参考文献数
47
被引用文献数
2 2 1

廃棄物問題への対策としてしばしば議論に上る経済的手法の一つにデポジット制度がある。このデポジット制度に対してこれまで様々な研究において,その有用性が指摘されている。しかしながら,その導入に対して否定的な見解を示す研究も見られ,実際にデポジット制度が廃棄物問題への対策として適用されることは少ない。本稿は,この乖離の原因を探るべく,デポジット制度に関する既存の経済学的研究から,デポジット制度の得失を整理したものである。そして,デポジット制度の得失を考慮した費用便益分析の再検討をおこなう必要があること,デポジット制度導入の課題を克服し,利点を生かす方策に関する研究を深めていく必要があることを提示する。
著者
福岡 雅子 小泉 春洋 高月 紘
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.97-107, 2005-03-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

プラスチック製容器包装の分別収集があり, 排出容器が指定袋でない大阪市および寝屋川市で, 家庭から排出されたごみ中のレジ袋を測定した結果, 枚数比で72~74%が何かを入れて捨てられたレジ袋 (二次利用袋) , 残りの26~28%は空袋であった。二次利用袋を, 排出容器 (持ち出し袋) と何かを入れて排出容器の中に捨てられたレジ袋 (小口まとめ袋) に分けると, ごみ中のレジ袋の12~14%が持ち出し袋であった。小口まとめ袋は, 排出容器 (親袋) に直接入れられるもの (子袋) だけでなく, 子袋に入れられる孫袋, さらにその中の袋・・・・・・がある。測定結果では, 親袋1袋あたり子袋4.2袋, 孫袋1.1袋, 曾孫袋0.2袋のレジ袋が用いられ, 約66%の小口まとめ袋に湿った厨芥が入れられていた。測定結果から, ごみ中のレジ袋の削減可能性を検討し, 使用抑制および薄肉化を進めた場合, 現状に比べて重量で55~57%のレジ袋が削減可能であると試算した。
著者
石塚 庸三 今井 久雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-7, 1992-01-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16

X線写真用定着廃液中の銀は, ビス (チオスルファト) 銀 (I) 酸イオンの形で溶解している。本報では, これらの廃液から銀を回収するために, 過酸化水素法, 電解法, 銅板浸漬法により, 所定条件下における析出物を得て, それらの組成形態について比較検討した。析出物は, 過酸化水素法, 電解法では硫化銀, 銅板浸漬法では銀単体と微量の酸化銅 (I) として同定された。過酸化水素法では, 廃液中に存在するS2O32-および [Ag (S2O3) 2] 3-量に与える過酸化水素の添加量の影響を, それぞれの析出物の組成形態 (Ag/S: モル比) をもとに検討した。理論量の過酸化水素を添加して生成する析出物には, 廃液中の銀がほぼ完全に含まれ, 回収されることが見い出された。硫化銀を直接水素処理 (300~700℃, 3h) しても銀単体は得られない。硫化銀を, 硝酸溶液 (1: 1) ついで塩化ナトリウム溶液で処理をして得られた塩化銀からは, その融点 (455℃) 付近で水素処理 (400℃, 3h) すると, ほぼ純粋な銀の単体が回収された。
著者
六川 暢了
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.13, no.6, pp.387-393, 2002-11-29 (Released:2010-05-31)
参考文献数
9

重油系燃焼灰からの有価金属の回収を目的として, 火力発電所の電気集塵器から排出された燃焼灰からの有価金属の浸出および浸出液からの金属イオンの分離について検討し, 重油系燃焼灰からバナジウムおよびニッケルを回収するプロセスを開発した。本プロセスは主に浸出, 溶媒抽出および晶析工程からなる。燃焼灰中のバナジウムおよびニッケルは過酸化水素水溶液により浸出し, 浸出されたバナジウムはトリ-n-オクチルメチルアンモニウムクロライド (TOMAC) により抽出し, 水酸化ナトリウム水溶液によりバナジウムを逆抽出し, 次に, 抽出残液中のニッケルは2-ヒドロキシ-5-ノニルアセトフェノンオキシム (HNAPO) により抽出し, 硫酸によりニッケルを逆抽出する。分離されたバナジウムおよびニッケルはエタノールによりそれぞれ金属塩として回収される。
著者
金子 栄廣 山口 稔
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.45-53, 1994-04-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
9
被引用文献数
3 3

溶出試験は廃棄物の有害性評価の一指標として広く用いられている。しかし, その方法が多様であるため, 結果の科学的な解釈が難しい, 異なる方法による結果の比較ができないなどの問題を抱えている。これを解決する手段として最大溶出可能量を測定することを目的とした溶出試験が注目されている。本研究では, 都市ごみ焼却飛灰中に含まれる重金属を対象として攪拌強度, 固液比, 接触時間, pHの溶出操作条件をパラメータとした溶出実験を行い, それぞれの条件下で溶出する金属量を調べることによって最大溶出可能量を調べるための溶出操作条件について検討した。その結果, カドミウム, 銅, 亜鉛およびマンガンについては最大溶出可能量を把握する溶出条件を設定できた。しかし, この条件では鉄の溶出量は接触時間の影響を, 鉛の溶出量は固液比および酸の種類による影響を受けることが明らかとなった。このように成分によって溶出の制限となる操作因子が異なるため, 最大溶出可能量を把握するための溶出試験方法を決めるには, 対象成分に応じて適当な溶出操作条件を検討する必要があることが示された。
著者
廣瀬 孝 菊地 徹 横澤 幸仁 内沢 秀光 櫛引 正剛 奈良岡 哲志
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.310-317, 2008 (Released:2009-03-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究は,リサイクルが求められている廃ペットボトルとホタテ貝殻を複合した新たな素材の基本的特性評価を目的として行った。具体的内容として,1) 加熱によるホタテ貝殻含有有機基質やホタテ貝殻の物性変化の確認,2) 複合した際の成形品表面の観察や黄色度およびその強度性能について,一般的にフィラー (充填剤) として用いられている炭酸カルシウムを複合した材料との比較を行った。その結果,加熱によるホタテ貝殻含有有機基質の熱分解に起因するホタテ貝殻の黄色度変化は,炭酸カルシウムのそれよりも大きいことがわかった。また,廃ペットボトルとホタテ貝殻を複合した材料の表面は,ホタテ貝殻に存在する有機基質の熱分解ガスに起因する発泡痕等は見られなかったものの,炭酸カルシウムと複合したものと比較して黄色度の高い成形品となった。強度性能は,ホタテ貝殻を複合した方が炭酸カルシウムを複合したものよりも高い値を示した。これらの結果より,廃ペットボトルとホタテ貝殻の複合材料は,炭酸カルシウムと複合したものと比較して,黄色度は高いものの表面に発泡痕等がなく,強度性能は高いことが明らかになった。
著者
福本 二也 古市 徹 石井 一英 蛯名 由美子 花嶋 正孝
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.101-110, 2000-03-31
被引用文献数
1

近年, 最終処分場の建設が, 地下水汚染への不安, 立地選定への疑問, そして事業主体への不信感等を抱く住民の反対により困難になっている。その対策の一環として, 平成9年の法改正により生活環境影響調査および調査結果の住民縦覧が義務づけられた。しかし, 生活環境影響調査だけでは問題の解決にはならず, さらなる情報公開と計画への住民参加が望まれている。本研究では, 中立的な立場において, 地形地質条件に着目した立地選定手法を現実の処分場立地事例に基づき構築し, さらに住民参加を取り込んだ立地選定プロセスのシステム化を行う。さらに別の住民反対が生じた立地選定事例を通じて, 本プロセスの構成方法と有効性を検証した。その結果, 立地選定を行い, 同時に適切な情報公開や説明会等の住民参加を行うことが, 情報公開不足によって生じる住民反対, あるいは住民反対の拡大を予防し, 住民理解の促進に資することを示すことができた。
著者
安田 八十五
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.229-234, 2001-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
21
被引用文献数
1 2

最近, ペットボトルが飲料容器として大量に流通している。しかしながら, ペットボトルのリサイクルは, 成功しているとはいい難い。ペットボトルのリサイクルは, 容器包装リサイクル法が施行された平成9年 (1997年) から本格化されたが, 平成11年度 (1999年) で, 約20%の回収率にとどまっている。本論文では, 自治体におけるペットボトルのリサイクルの取り組みに関して, 社会的費用便益分析を用いた総合評価を行った。ことに, ごみリサイクルとしての処理が環境負荷に与える影響をLife Cycle Assessmentの手法を適用して測定し, さらに, その価値を貨幣換算して, 評価に組み込んだ。対象自治体としては, 容器包装リサイクル法ルートを100%適用している埼玉県川口市, 70%を市場に回している大阪市, およびスーパーマーケットなどを回収拠点として協力してもらっている東京都 (23区) の回収方式の類型が異なる3都市を選択した。環境負荷削減による外部便益増加を含めた社会的純便益は, 事例研究を行った3自治体すべてにおいてマイナスの結果を得た。ペットボトルのリサイクルが, 自治体において大きな経済的負担になっており, 事業者負担の適正化等の受益者負担原理に基づいたリサイクル政策の改革が求められている。また, 3都市の中では, 川口市が最も社会的便益が小さいことが判明した。これは, 容器包装リサイクル法による回収リサイクルシステムが, 効率が良くないことを意味している。同様な法律で容器包装リサイクルを実行しているドイツやフランスを参考にし, 事業者負担を強化した方式に改革することが期待される。
著者
秋山 貴 大迫 政浩 松井 康弘 原科 幸彦
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.121-130, 2004-03-31
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

産業廃棄物処理施設は忌避施設と見なされ, その設置をめぐる紛争が多発している。このような特性を有する施設が偏在することは, 環境保護と社会正義の同時達成を目指す「環境的公正」の概念に照らして問題であるとの仮説を基に, 本稿ではその空間的偏在性について定量的に検討した。同時に, 昨今大きな社会問題になっている産業廃棄物の不法投棄についても検討した。分析対象は関東とその周辺の1都8県の最終処分場, 中間処理施設, 不法投棄とし, それらを市町村ごとに集計してその立地や発生の傾向を調べた。分析の結果, 最終処分場, 中間処理施設, 不法投棄のすべてにおいて正の空間的自己相関が存在し, これらが市町村単位で見たとき偏在性があることがわかった。さらに, 最終処分場立地点と不法投棄発生点には空間的分布において類似性が認められることから, 問題構造に共通性が存在する可能性があることが示された。
著者
杉浦 淳吉 野波 寛 広瀬 幸雄
出版者
Japan Society of Material Cycles and Waste Management
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.87-96, 1999-03-31
被引用文献数
7 4

本研究では, ごみを可燃・不燃の2分別でいつでも出せる旧方式から, 資源化を含む26種類に分別し, 月2回の回収日には住民が交代で立ち当番をするという新制度を導入した自治体の事例を取上げた。市内全域に順次導入される一時期において, 制度導入前, 導入直後, 制度導入後1年の3地区について, 各210世帯を対象とする社会調査を実施し, 新しい分別回収制度の社会的利益・個人的コストの個別評価, 新制度の総合評価を比較した。その結果, 新制度の総合評価は, 導入前の地区よりも, 導入からの時間が経過した地区ほど, 肯定的に変化していた。ごみ処理に関する個別評価では, 行政による情報への接触により社会的利益の側面による新制度支持が肯定的に変化した。一方, 制度導入から一定期間が経過することで, 行動実行のコミットメントおよび行動の習慣化により, 社会的利益の側面に加え, 個人的コストの側面からも新制度を支持するように変化した。
著者
池田 由起 石塚 譲 入江 正和 亀岡 俊則 石渡 卓 鈴木 孝彦 松田 行雄
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.246-255, 2004-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
25
被引用文献数
1 1

都市域で発生する多様な食品残渣の中から, おから, 寿司残渣, 練り製品残渣を原料として選択し, これらを気流乾燥機で乾燥した後, 回収魚アラから造られたアラミール等を添加して, マダイ用ペレット飼料を製造し, その成分を把握した。この食品残渣配合マダイ用ペレット飼料 (以下, リサイクル飼料と略す) の効果を調べるために, 63日間養殖マダイに給与して, マダイの成長等に及ぼす影響について, 市販マダイ用配合飼料と比較検討した。その結果, リサイクル飼料は, 市販配合飼料に劣らない効果を持ち, マダイの養殖に利用可能であることがわかった。食品残渣の乾燥・ペレット製造工程を最適化した食品残渣配合マダイ用ペレット飼料化システムにおける製造コストを試算し, 本システムの事業採算性を検討した。リサイクル飼料生産量6 ton/日において, IRR (Internal Rate of Return) =10%となるリサイクル飼料の販売価格は, 市販ペレット飼料と同程度となった。
著者
橋本 征二 寺島 泰
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.271-279, 2000-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
26
被引用文献数
13 8

建築物を対象として解体廃棄物の発生予測手法を検討するとともに, わが国の近未来における建築物解体廃棄物 (いくつかの有害廃棄物および有害物質を発生させる可能性のある廃棄物を含む) の発生予測を行い, 以下の結論を得た。1) 解体建築物量の予測手法を, 既存の統計データおよび建築物の寿命変化に対応できるものとして改善した。2) 建築物解体廃棄物量の統計値は, 過小推計となっている可能性が高い。3) 解体廃棄物の発生量は2010年には1990年比で2倍程度になると予測された。木造と非木造を比較すると, 今後は非木造からの発生が相対的に大きくなるが, その増加の主要因はコンクリートがらである。また, CCA処理木材, 塩化ビニルの増加が顕著であり, 2010年には1990年比で3倍程度になると予測された。
著者
山川 肇 矢野 潤也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.212-224, 2008 (Released:2009-03-10)
参考文献数
24

本研究では,ごみ処理事業の費用負担のあり方に関する研究の基礎として,戦後の有料化の変遷を明らかにした。戦後から現在までに実施されたごみ収集手数料に関する調査・資料をサーベイした結果,1) 家庭ごみ有料化都市は,戦後10年間でほぼ皆無の状態から約50%まで大きく増加し,その後1960年代後半から10年間で約10%まで大きく減少した。さらに1990年以降約15年間で再び約40%まで増加した。2) 事業系ごみを含むごみ処理事業の日本全体の手数料負担率は,無料化の進展にともない10%強から5%弱に減少した。3) 無料化進展以前の1957年における定額制の手数料水準は173円/月・世帯であった (物価調整済み)。これは2000年の従量制有料化都市における家計負担試算額の2分の1程度となった。
著者
中崎 清彦 塚田 智隆 大滝 昭仁
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.167-173, 1996-07-31 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

実験室規模の自己発熱型等温反応装置を用い, 二酸化炭素発生速度, および炭素変化率を測定することによって, コーヒーかすのコンポスト化速度を定量した。コーヒーかすのC/N比は24.2であり, 従来からいわれているコンポスト化の最適C/N比付近にあるが, 水溶性の窒素濃度は1.73×10-3g-N/g-乾燥コーヒーかすと全窒素の10%以下に過ぎずコンポスト化速度は遅いことがわかった。そこで, 水溶性含窒素化合物として硫酸アンモニウム, およびペプトンを添加したところ, いずれの場合もコーヒーかすの分解は促進されるが, ペプトンを添加したときの方が促進効果が大きいことを明らかにした。また, コンポスト化にともなう微生物相変化を測定し, 含窒素化合物を添加することで好熱性細菌の増殖が促進されることを見いだした。なお, 含窒素有機化合物として火力発電所の排水路から回収された廃棄物である除去貝を用いたところ, コーヒーかすは32日間の短時間でコンポスト化が可能で, 除去貝の添加は高速コンポスト化に有効であることを確かめた。
著者
古川 清治 内保 顕 内田 敏仁 伊藤 一郎 吉田 恒行 上林 史朗 阿部 清一 古角 雅行
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.10, no.5, pp.276-283, 1999-09-30 (Released:2010-05-31)
参考文献数
11
被引用文献数
2 1

ごみ焼却残渣の溶融施設から排出されるばいじん (溶融飛灰) 中の重金属の安定化手法として, リン酸処理方法について検討した。溶融飛灰原灰および, これにリン酸を添加, 混練りしたリン酸処理灰について, 各種溶出試験によりPbなどの重金属の溶出挙動を調べるとともに, 処理灰の化学形態を調べた。各種溶出試験の結果から, pHや液/固比によらず, リン酸処理灰は原灰と比較してPb, Cd, Zn, CuおよびCaの溶出が抑制されることが明らかとなった。また, リン酸処理灰の形態調査の結果から, 処理灰中には, 化学的に安定な鉱物であるPb5 (PO4) 3Cl (クロロピロモルファイト) が検出された。
著者
山本 勝彦 三沢 真一 肥塚 和彦 三村 良平
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.195-203, 2000-07-31
参考文献数
23
被引用文献数
2

本実験は, RDFの利用用途の開発を目的として, 木材や石炭の燃料精製に適用されている炭化工程により, 家庭系可燃ごみから製造されたRDFを炭化物とした。この結果, 炭化物の容積は, ごみ段階から1/10~1/8に減少し, 重量ではごみ段階の1/8~1/6に減少した。また, RDFからは容積, 重量ともに約1/3に低下した。もう1つの炭化処理の効果として, RDFに含まれる塩素が熱分解により塩化水素として分離され, RDFの塩素含有量が61%削減された。炭化物には植物が必要な微量成分が含まれており, 有害物質の含有量も溶出量も少ないことから, 土壌改良材として使用できることが明らかとなった。<BR>炭化物の塩素含有量を削減するため, 粉砕した炭化物を水洗し, 温水 (80℃) と水蒸気 (115℃) で洗浄することにより, RDF中の塩素含有量は最終的に90%以上が除去された。この実験から, 以下の3点がRDFを炭化処理する利点として得られた。第1には, 広域化処理を念頭に置いた場合, 炭化物はごみ輸送あるいはRDF輸送から炭化物輸送に転換することにより輸送効率を改善できることであり, 第2はRDFより塩素含有量の少ない燃料として利用できることさらに, 第3は炭化物は土壌改良材に利用できること, である。
著者
小寺 洋一 石原 由美子 武藤 大志郎 黒木 健
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 = Journal of the Japan Society Waste Management Experts (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.35-43, 2008-01-30
参考文献数
21
被引用文献数
1 3

既存の廃プラスチック類の油化技術および油化リサイクルの進展を阻害した要因を分析し,油化リサイクルの普及に必要な,次世代型油化技術の基本的要件の調査研究を行った。従来の主な油化技術はバッチ式タンク反応器をもつ小規模油化プラントによるもので,炭化物障害による処理能力の不足から油化事業は経済的に成立困難であった。廃プラスチックの発生量・流通量の実態調査と試算から,油化リサイクル普及に必要なプラントの仕様・性能は,油化能力日量3~7ton,装置コストは処理量1tonにつき0.5億円,油化コスト約40円/kgであった。既存技術は,日量1ton程度と過少かまたは,日量20ton以上の過剰設備で,いずれも企業の事業規模に適合しなかった。油化リサイクルの促進には新型式反応器の開発,実用化が必要で,その基礎となる事業性と技術的鍵となる反応器の伝熱効率の評価を通じて,次世代型油化技術の具備すべき基本的要件を明らかにした。
著者
早瀬 光司 錫木 圭一郎 青木 誠治 上滝 丈太郎
出版者
廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.193-200, 2002-07-31
参考文献数
16

大学構内の公共空間を現場実験系として採用し, 散乱ごみ低減の社会実験を行った。実験系を朝清掃して散乱ごみをゼロとした後, 夕方, 散乱ごみを回収しごみ分析を行った。人員は10分間隔の写真撮影によりカウントした。実験1においては, ごみ箱も幟もない参照期間とごみ箱と幟「ごみはごみ箱へ」を設置した観測期間との間の散乱ごみ量を比較した。その結果, カンビンの散乱率は観測期間で10%以下となり, ごみ箱と幟による散乱ごみの低減効果が観測された。実験2においては, 灰皿も幟もない参照期間と灰皿と幟「吸い殻は灰皿へ」を設置した観測期間との間の散乱吸い殻量を比較した。その結果, 吸い殻の散乱率は観測期間で61~67%と大きな値であり, 灰皿と幟による散乱吸い殻低減効果はあまり認められなかった。また, 喫煙者は近くに灰皿があれば吸い殻はそこへ入れるが, 少し離れているだけで近くにない場合は灰皿へ入れようとしない傾向のあることもわかった。今後は, 喫煙者が吸い殻を散乱させないようにする啓発活動や働きかけなど, さらなる介入策の研究が必要であろう。