- 著者
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安田 八十五
- 出版者
- 一般社団法人 廃棄物資源循環学会
- 雑誌
- 廃棄物学会論文誌 (ISSN:18831648)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.5, pp.229-234, 2001-09-30 (Released:2010-05-31)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
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最近, ペットボトルが飲料容器として大量に流通している。しかしながら, ペットボトルのリサイクルは, 成功しているとはいい難い。ペットボトルのリサイクルは, 容器包装リサイクル法が施行された平成9年 (1997年) から本格化されたが, 平成11年度 (1999年) で, 約20%の回収率にとどまっている。本論文では, 自治体におけるペットボトルのリサイクルの取り組みに関して, 社会的費用便益分析を用いた総合評価を行った。ことに, ごみリサイクルとしての処理が環境負荷に与える影響をLife Cycle Assessmentの手法を適用して測定し, さらに, その価値を貨幣換算して, 評価に組み込んだ。対象自治体としては, 容器包装リサイクル法ルートを100%適用している埼玉県川口市, 70%を市場に回している大阪市, およびスーパーマーケットなどを回収拠点として協力してもらっている東京都 (23区) の回収方式の類型が異なる3都市を選択した。環境負荷削減による外部便益増加を含めた社会的純便益は, 事例研究を行った3自治体すべてにおいてマイナスの結果を得た。ペットボトルのリサイクルが, 自治体において大きな経済的負担になっており, 事業者負担の適正化等の受益者負担原理に基づいたリサイクル政策の改革が求められている。また, 3都市の中では, 川口市が最も社会的便益が小さいことが判明した。これは, 容器包装リサイクル法による回収リサイクルシステムが, 効率が良くないことを意味している。同様な法律で容器包装リサイクルを実行しているドイツやフランスを参考にし, 事業者負担を強化した方式に改革することが期待される。