著者
今村 一歩 川下 雄丈 古賀 直樹
出版者
長崎大学
雑誌
長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.119-123, 2013-06-25

症例は79歳、男性。不明熱にて精査中、腹部CT精査にて胃前庭部に高輝度線状陰影を認め魚骨穿通疑いにて当院紹介となった。明らかな腹膜刺激徴候なく準緊急的に腹腔鏡下精査を行った。検索すると胃前庭部前壁から線維組織とつながる形で長さ20mm程の魚骨に相当する白色線状物を認めた。魚骨の末梢のみが胃漿膜内に嵌入した状態であり、鋏にて漿膜を鋭的に切離し摘出を行った。穿通部位の胃壁漿膜筋層を縫合し周囲に膿瘍形成のないことを確認し手術終了した。術後経過は良好で術後8日目に退院となった。魚骨の消化管穿孔はしばしば不定な愁訴を来たし診断に苦慮する場合も存在する。腹腔鏡下アプローチは魚骨の存在診断と摘出を行える有力な治療選択肢の一つと考えられた。