著者
古賀 英也
出版者
一般社団法人 日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.71-87, 2002 (Released:2008-02-26)
参考文献数
64
被引用文献数
4 5

西南日本出土の縄文時代から現代に至る人骨683体について, ハリス線の出現状況を調査した。現代人の上•下肢骨で出現部位を検討した結果, ハリス線は下肢の大腿骨遠位端や脛骨近位端で最も高頻度に出現すること, また, 未成人骨で多く見られ, 成人期では加齢と共に出現頻度が減少する傾向が確認された。時代変化については, 縄文人骨でのハリス線出現率は30.8%であったが, 弥生時代以降は, 時代, 地域により多少の高低はあるものの, ほぼ50%の高い出現率を示し, 経年代的低下傾向は認められなかった。ただ, 同じ弥生時代でも地域差が大きく, 土井ヶ浜遺跡 (海岸区), 広田遺跡 (離島) 出土人骨では, それぞれ20%, 7.4%と低かった。また, 古墳人骨では, 墳丘墓よりも, 横穴墓の人骨で重症例が多く観察された。
著者
古賀 英也
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.111, no.1, pp.51-67, 2003 (Released:2003-11-19)
参考文献数
61
被引用文献数
7 6

西南日本出土の縄文時代から現代に至る頭蓋骨682個についてクリブラ·オルビタリアを, また626個体の歯列についてエナメル質減形成を肉眼観察し, それぞれの出現頻度を調査した。両ストレスマーカーは共に小児期から思春期頃にかけて最高頻度に達し, 以後は年齢と共に減少する傾向が見られた。クリブラ·オルビタリアは現代人の35.4%が最高で, 最低は博多の天福寺近世人の2.4%であった。また, エナメル質減形成は原田近世人で87.0%の最高値を示し, 最低は北部九州弥生人の15.2%であった。このストレスマーカーには西日本各地の弥生集団間でかなりの違いが見られたが, 縄文人に較べて特に北部九州弥生人で低下傾向が認められた。以上の各時代, 地域集団において, ハリス線を含めた3種のストレスマーカー間の相関を調べたところ, クリブラ·オルビタリアとエナメル質減形成の間に弱いながらも有意の関連性が認められた。
著者
古賀 英也
出版者
日本人類学会
雑誌
Anthropological Science (Japanese Series) (ISSN:13443992)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.71-87, 2002
被引用文献数
5

西南日本出土の縄文時代から現代に至る人骨683体について, ハリス線の出現状況を調査した。現代人の上•下肢骨で出現部位を検討した結果, ハリス線は下肢の大腿骨遠位端や脛骨近位端で最も高頻度に出現すること, また, 未成人骨で多く見られ, 成人期では加齢と共に出現頻度が減少する傾向が確認された。時代変化については, 縄文人骨でのハリス線出現率は30.8%であったが, 弥生時代以降は, 時代, 地域により多少の高低はあるものの, ほぼ50%の高い出現率を示し, 経年代的低下傾向は認められなかった。ただ, 同じ弥生時代でも地域差が大きく, 土井ヶ浜遺跡 (海岸区), 広田遺跡 (離島) 出土人骨では, それぞれ20%, 7.4%と低かった。また, 古墳人骨では, 墳丘墓よりも, 横穴墓の人骨で重症例が多く観察された。