著者
中村 亮介 古野 忠秀 中西 守
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.2-6, 1998-01-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
23

免疫系は, 生体に侵入した異物を認識し, これを排除する高等動物に特有な生体防御システムである. 免疫系の特徴は「自己と非自己の認識」にある. 自己と非自己の認識は, T細胞とB細胞の細胞間相互作用によりなされている. 本文では, その自己と非自己の認識の分子メカニズムをまず紹介する. ついで, この自己と非自己の認識を介した免疫系のネットワークの特質を述べる. 免疫系のネットワークでは, 細胞の直接の相互作用や液性因子を介して互いの細胞に情報が伝達され, 活性化が誘導される. この細胞の活性化の研究には最新の光学顕微鏡技術が有用であり, そのような実験結果を紹介しつつ, 免疫系における細胞間相互作用の実体を述べる.