著者
笠岡 誠一 古野 麻衣子 佐野 貴士
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 2021年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.23, 2021 (Released:2021-09-07)

【目的】消化酵素に抵抗性を示すでんぷん(レジスタントスターチ, RS)は食物繊維と同様に腸内環境を改善すると考えられているが,調理直後や保存状態による食品中RSの変化の知見は少ない。そこで種々のでんぷん性食品の加熱直後,1時間室温放置後,また電子レンジで再加熱した後のRSを測定した。【方法】乾麺のスパゲッティ1束(100g)を1Lの沸騰湯浴中で7分間加熱した。同様に乾麺のそうめん1束(90g),ゆでうどん1袋(180g),生中華麺1袋(141g)をそれぞれ加水加熱した。加熱後1時間室温で放置した。米200gに1.5倍の水を加え60分の浸漬後電気炊飯器で炊飯した。1時間室温放置した後電子レンジで再加熱,または熱湯を注ぎ10分間室温放置した。炊きたて米飯を24時間冷凍庫に保存した。取り出した冷凍米飯を電子レンジで再加熱,また再加熱後室温で4時間放置した時のRSも測定した。亀井らの方法1) に従い粉末化した試料をAOAC公定法により測定した。【結果】1時間の室温放置でRSは,スパゲッティで2.0倍,そうめんで1.5倍,ゆでうどんで1.1倍,生中華麺で2.2倍に増加した。炊きたて米飯を1時間放置するとRSは2.9倍に増えた。それを電子レンジ再加熱や,熱湯を注いで10分間の室温放置でもRSは維持されていた(1時間室温放置後RSに対し93%, 95%)。炊きたて米飯を24時間冷凍庫に保存するとRSは2.1倍に増えた。それを電子レンジ再加熱や,再加熱後の室温放置でRSはさらに増加した(24時間冷凍庫保存後のRSに対し117%, 139%)。老化したでんぷん(RS)を電子レンジで再加熱しても元の糊化でんぷんには戻らないことが示唆された。1) 亀井文ら, 宮城教育大学紀要(2016) 50, 165-170