著者
松田 千明 吉原 真紀 茶谷 麻衣子 滝谷 知之 千葉 奈津記
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会宮城県理学療法士会
雑誌
理学療法の歩み (ISSN:09172688)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.16-20, 2009 (Released:2009-02-17)
参考文献数
8

パーキンソニズムの歩行障害は,内的リズム形成障害による影響が大きいと考えられており,それに対して外的刺激が有効なことは知られている。今回は重度のパーキンソニズム進行例に対して,音楽CDによる音リズム刺激を運動療法に導入することで動作性改善を期待した。結果,精神活動面での変化がみられ,覚醒時間拡大,発語量増加等がみられた。動作面においては起立・立位,歩行動作能力の向上がみられ,本症例自身も身体の動きやすさを自覚された。これらの変化の要因として,音楽による精神面への作用が,活動意欲を引き出すことに結びついたと考えられる。また音リズム刺激により十分な内的リズム形成の機会を得られたことが,運動開始やその遂行のためのリズム獲得につながり,動作性向上もみられたと予測される。
著者
阿部 千恵 吉原 真紀 真鍋 祐子 村上 賢一 藤澤 宏幸
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.130-134, 2004-04-20 (Released:2018-09-25)
参考文献数
6
被引用文献数
3

今回我々は,片麻痺患者を対象(n = 33)に,端坐位において体幹側屈による速い側方への重心移動動作時の圧中心点(center of pressure ; COP)の変化量を測定し,体幹運動機能(頸・体幹・骨盤運動機能検査 ; N.T.P.)との関係を検討した。COP変化量の指標は,動作関始直後にみられる重心移動をしようとする方向と逆方向の振幅(A1)・COP最大移動速度(Vmax),重心移動距離(Dcog)とした。また,独歩可能な患者の10m最大歩行速度を計測し,COP変化量との関係を併せて検討した。結果,側方重心移動時のA1とN.T.P.ステージには有意な相関関係があり,N.T.P.ステージが良好であった患者のA1は麻痺側・非麻痺側への重心移動動作共に大きかった。これより,体幹運動機能が良好な片麻痺患者では速い動作を遂行する為の重力のモーメントを作り出すことが可能であると思われた。最大歩行速度とDcogの関係は麻痺側方向と非麻痺側方向共に有意な相関があり,A1においては非麻痺側へ重心移動を行った場合,相関が認められた。これより,歩行時の体幹機能は骨盤掌上の要素に比べ骨盤帯や下肢の支特性がより影響するものと思われた。本研究より,端坐位における側方重心移動動作時のCOPの解析は,体幹運動機能評価に有用であり歩行能力に関連していることが考えられた。