著者
和泉 美枝 眞鍋 えみ子 吉岡 友香子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.120-129, 2013-04-01
参考文献数
27

女子大学生530名を対象に子宮がん検診と子宮頸がん予防ワクチン接種行動の関連要因を明らかにするため質問紙調査を行い,医療系と非医療系学部に分け分析した。結果(1)ワクチンを本調査で初めて知った者は医療群19.3%,非医療群65.1%であった。知識得点や既知率は医療群が高かったが既知率50%以下が8項目(66.7%)あった。(2)子宮がん検診受診率は医療群13.9%,非医療群6.6%,受診意思ありは各84.4%, 71.0%でともに医療群が高率であった。受診者の69.8%は自治体での検診を受診し主な動機は自己の健康管理であった。未受診の主な理由は多忙,必要性の自覚や関心なしであった。(3)ワクチン接種率は医療群3.1%,非医療群3.3%.接種意思ありは各76.3%, 49.8%で医療群が高率であった。未接種の主な理由は高額,副作用や有効性の問題,多忙,接種場所の問題,必要性の自覚なしであり,費用の公的補助を希望していた。(4)子宮がん検診受診やワクチン接種意思のある者のほうが関連する知識を有していた。以上から女子大学生の子宮がんに関する予防行動実施率は低く情報や知識不足,自己関与への認識の低さ,費用や環境の関与が示され,知識や自己の健康管理への意識を高められるかかわり,受診環境や公費負担への整備の必要性が示唆された。