著者
渡辺 綾子 眞鍋 えみ子 和泉 美枝 植松 紗代 田中 秀樹
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.16065, (Released:2018-05-25)
参考文献数
60
被引用文献数
3 5

This study investigated sleep quality, anxiety and depression variations during pregnancy (second and third trimester) to one month postpartum, as well as their relationships with each time period. A survey targeted 402 women who were pregnant or one-month postpartum using the Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI) and the Hospital Anxiety and Depression Scale. The total score of PSQI, sleep duration, and habitual sleep efficiency at one month postpartum were worse than during the second and third trimesters; however, sleep disturbance scores were better at one month postpartum. There were no significant differences in anxiety and depression. The second trimester of pregnancy was related to anxiety, The total score of PSQI, and sleep quality. Anxiety was related to the presence of complications. At one month postpartum, sleep quality was related to anxiety and disturbed sleep, whereas sleep quality and difficulty staying awake during the day were related to depression. These results suggest that understanding the characteristics of women's sleep during pregnancy and postpartum period will be helpful in predicting women's anxiety and depression.
著者
和泉 美枝 眞鍋 えみ子 植松 紗代 渡辺 綾子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
pp.20170224001, (Released:2017-12-18)
参考文献数
38

【目的】産後女性の肥満予防の基礎データを得るため,産後の身体組成とエネルギー代謝に関連があるとされる自律神経活動の推移と関連を明らかにすることとした。【方法】非妊娠時BMIやせまたは標準で,産後1年以内に3回協力の得られた女性49名を対象とし,身体組成(体重・体脂肪率)と自律神経活動を測定した。【結果】体重と体脂肪率は産後の経過に伴い有意に減少していたが,産後9~12か月で「隠れ肥満傾向」34.7%,「隠れ肥満」16.3%,非妊娠時BMI標準者(35名)で非妊娠時体重への未復帰者28.6%であった。自律神経活動は産後時期による差はなかった。1日あたりの体重や体脂肪率の減少量と交感神経活動指標は負の相関,副交感神経活動指標は正の相関がみられた。【結論】産後1年の経過に伴い体重や体脂肪率は減少を示し,自律神経活動は変化しなかった。しかし,体重や体脂肪率の減少には自律神経活動の関連が示唆された。
著者
松田 かおり 眞鍋 えみ子 田中 秀樹
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学看護学科紀要 (ISSN:13485962)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.49-54, 2008

4歳児をもつ女性260名を対象に,女性の睡眠健康,睡眠感,眠気と精神健康との関連を検討した.その結果,睡眠健康の障害,自覚的睡眠感,日中の眠気と精神健康とは関連することが明らかとなった.さらに,入眠と睡眠維持の障害から,起床時眠気や疲労回復の遅れを伴う場合には,身体症状,社会的活動障害や不安と関連し,うつ傾向には,入眠障害,起床時眠気の関与が明らかとなった.したがって幼児をもつ女性においても,入眠困難や睡眠の質の改善を図ることにより,自覚的睡眠感の改善が期待され,精神健康の向上に寄与すると推測された.
著者
安達 望江 和泉 美枝 眞鍋 えみ子
出版者
一般社団法人 日本助産学会
雑誌
日本助産学会誌 (ISSN:09176357)
巻号頁・発行日
pp.JJAM-2021-0033, (Released:2022-10-14)
参考文献数
40

目 的妊娠期における身体活動,体重増加量および非妊時BMIと下肢筋肉量との関連,下肢筋肉量への影響要因を検討する。対象と方法妊婦520名に自記式質問紙による調査と体組成分析装置(InBody270)を用いて体重,下肢筋肉量を測定した。質問紙による調査内容は属性,非妊時体重,身長,身体活動は運動習慣の有無と生活活動量(NEAT質問票)であった。初経産婦別にt検定を行い,下肢筋肉量の影響要因の検討には重回帰分析を行った。結 果分析対象者は484名(18~44歳,初産婦229名,経産婦255名,妊娠5~40週)であり,本対象者の下肢筋肉量の平均は11.53±1.68kgであった。下肢筋肉量は,初経産婦共に生活活動量低群(初産婦10.97±1.70kg,経産婦11.24±1.63kg)より高群(11.76±1.49kg,12.41±1.72kg)の方が有意に多く,非妊時BMIにおいても低群(10.71±1.60kg,11.46±1.85kg)より高群(11.98±1.60kg,12.17±1.56kg)の方が有意に多かった。初産婦では,非妊時BMI,体重増加量,妊娠前の運動習慣が下肢筋肉量に影響し(β=.339, .227, .136),説明率18.8%であった。経産婦では,体重増加量,非妊時BMI,生活活動量が下肢筋肉量に影響し(β=.258, .245, .169),説明率15.6%であった。非妊時標準体格の妊婦では,妊娠16~27週,28~37週において体重増加量4.9kg,8.5kg以上がそれ未満に比べて下肢筋肉量は多かった。結 論妊婦の下肢筋肉量には,非妊時BMIや体重増加量が影響し,さらに初産婦では妊娠前の運動習慣,経産婦では生活活動量が影響することが示された。
著者
眞鍋 えみ子 小松 光代 岡山 寧子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.1_123-1_131, 2014-04-01 (Released:2016-03-05)
参考文献数
23

【目的】 看護学士課程卒業後,同一医療機関で勤務する看護職34名を対象に3年間の〈職務ストレッサー〉と〈心理的ストレス反応〉の変化とその関連要因を検討した。 【方法】 就業12,24,36か月目の時期に自記式質問紙調査を行い,内容は属性のほかに〈職務ストレッサー〉〈ストレス対処行動〉〈情緒的支援〉〈心理的ストレス反応〉であった。 【結果】 1年目では「看護能力不足」によるストレッサーを認知し,そのストレッサーが強いほど「個人的達成感の低下」を示した。2年目では,「上司との関係」に関するストレッサーは「個人的達成感の低下」を助長する一方で,「同僚」や「医師」に関するストレッサーは「個人的達成感の低下」を抑制していた。2年目までは,接近型問題対処行動をとるほど「脱人格化」の行動傾向は少なくなった。 【考察】 ストレッサーやストレス対処行動の質の変化や行動傾向にあわせた支援の重要性,とくに1年目は看護実践能力の向上,2年目は人間関係調整能力の習得支援の必要性が示唆された。
著者
和泉 美枝 眞鍋 えみ子 吉岡 友香子
出版者
日本母性衛生学会
雑誌
母性衛生 = Maternal health (ISSN:03881512)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.120-129, 2013-04-01
参考文献数
27

女子大学生530名を対象に子宮がん検診と子宮頸がん予防ワクチン接種行動の関連要因を明らかにするため質問紙調査を行い,医療系と非医療系学部に分け分析した。結果(1)ワクチンを本調査で初めて知った者は医療群19.3%,非医療群65.1%であった。知識得点や既知率は医療群が高かったが既知率50%以下が8項目(66.7%)あった。(2)子宮がん検診受診率は医療群13.9%,非医療群6.6%,受診意思ありは各84.4%, 71.0%でともに医療群が高率であった。受診者の69.8%は自治体での検診を受診し主な動機は自己の健康管理であった。未受診の主な理由は多忙,必要性の自覚や関心なしであった。(3)ワクチン接種率は医療群3.1%,非医療群3.3%.接種意思ありは各76.3%, 49.8%で医療群が高率であった。未接種の主な理由は高額,副作用や有効性の問題,多忙,接種場所の問題,必要性の自覚なしであり,費用の公的補助を希望していた。(4)子宮がん検診受診やワクチン接種意思のある者のほうが関連する知識を有していた。以上から女子大学生の子宮がんに関する予防行動実施率は低く情報や知識不足,自己関与への認識の低さ,費用や環境の関与が示され,知識や自己の健康管理への意識を高められるかかわり,受診環境や公費負担への整備の必要性が示唆された。
著者
渡辺 綾子 眞鍋 えみ子 和泉 美枝 植松 紗代 田中 秀樹
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.89, no.2, pp.130-138, 2018
被引用文献数
5

<p>This study investigated sleep quality, anxiety and depression variations during pregnancy (second and third trimester) to one month postpartum, as well as their relationships with each time period. A survey targeted 402 women who were pregnant or one-month postpartum using the Pittsburgh Sleep Quality Index (PSQI) and the Hospital Anxiety and Depression Scale. The total score of PSQI, sleep duration, and habitual sleep efficiency at one month postpartum were worse than during the second and third trimesters; however, sleep disturbance scores were better at one month postpartum. There were no significant differences in anxiety and depression. The second trimester of pregnancy was related to anxiety, The total score of PSQI, and sleep quality. Anxiety was related to the presence of complications. At one month postpartum, sleep quality was related to anxiety and disturbed sleep, whereas sleep quality and difficulty staying awake during the day were related to depression. These results suggest that understanding the characteristics of women's sleep during pregnancy and postpartum period will be helpful in predicting women's anxiety and depression.</p>
著者
眞鍋 えみ子 和泉 美枝 岩佐 弘一
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

産後における適正体重、適正体脂肪率の維持を目的に、自宅における体重・体脂肪率維持の支援策としてのプログラムを作成し、その効果を検討した。プログラムは、日常生活習慣や精神状態のコントロールのセルフモニタリングとライフコーダーによる活動量のモニタリングから構成した。その効果を検討したところ、プログラム実施群には交感神経活動の活性化が認められたが、体重、体脂肪率、筋肉量などの身体組成では効果が認められなかった。本研究成果は、プログラム実施期間の再検討、実施されたセルフモニタリングへのフードバック方法の検討が課題であり、その展開が期待される。
著者
眞鍋 えみ子
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

プログラムは、セルフモニタリング、行動目標の設定とホームワーク、望ましい行動に対する自己強化、自己教示指導、面接によるフィードバックから構成される。チェックシートは睡眠状態、胎動、腹部・出血、体重、食事、運動、生活、気持ち(快適度)、母親イメージ、赤ちゃんと話す(コミュニケーション)の11のチェック項目と自由記述欄からなる。健康行動学習プログラムの臨床的適用を検討するために、妊娠初期の初妊婦を対象に15〜34週までの20週間、健康学習プログラムによる介入指導を行いその効果を検討した。面接指導群20名には、セルフモニタリング(妊娠15週、22週、32週前後)と同一の助産師による面接(妊娠17週、24週、34週前後)を行った。記録群(29名)には、面接指導群と同時期にセルフモニタリングのみ行った。そして統制群34名を設定した。その結果、面接指導群と記録群では、特に食生活や日常生活動作に関するセルフケア行動意図の維持、向上、セルフケア行動の遂行レベルが高いこと、統制群では妊娠末期に不安が若干増強しているのに対し、面接指導群と記録群では妊娠経過と共に軽減するのが認められた。さらに、記録群では介入期間中に20%の者がドロップアウトした。セルフモニタリングは、時間と経済的な面からも効率的な効果が期待される。しかし、1週間の継続したセルフモニタリングができない妊婦はプログラムによる指導の対象外となること、セルフモニタリングの持続には、助産師の個別面接によるフィードバックは有効であることが示された。これらから健康学習指導プログラムは妊娠期のセルフケア行動の向上に有効であると確認された。