著者
生井 明浩 池田 稔 土肥 二三生 吉川 琢磨 木田 亮紀
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.369-372, 2000-06-01 (Released:2010-06-28)
参考文献数
5
被引用文献数
1

味覚障害の原因には, 従来より亜鉛が重要と考えられているが, 亜鉛の内服では味覚障害の改善の認められない症例がある.亜鉛と同様生体内の必須微量元素であるビタミンB群に着目し, 味覚障害患者の血中ビタミンB1とB2の測定を行った.対象は, 味覚障害患者のうちの血清亜鉛値正常者43例 (30歳―77歳, 平均59.7歳.男性17名, 女性26名) であった.43例全例血中ビタミンB1値は正常であった.43例中17例 (39.5%) に血中総ビタミンB2値の低下を認めた.低下症例の平均は44.4±3.8ng/ml, 全症例の平均53.8±12.4ng/mlであった (正常値50―84ng/ml).総ビタミンB2値の低下を認めた17例中10例に活性型ビタミンB2 (FAD) の経口投与を行った.10例中6例 (60%) に味覚の改善を認めた.味覚障害にビタミンB2欠乏も関与している可能性が推察された.
著者
吉川 琢磨 生井 明浩 池田 稔 木田 亮紀
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.864-869, 1997-08-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

小児の異物誤飲事故は, 日常診療において遭遇する機会が多いが, 小型電池によるものは早期より重篤な合併症を引き起こしうるため, 近年多数の報告がなされている. しかしそのほとんどが胃あるいは腸に異物が落下していた例であり, 食道内に停滞していた症例についての報告は多くはない. 今回我々は, 従来の小型電池よりも電圧の強いリチウム電池を誤飲し食道潰瘍をきたした1症例を経験したので報告する. さらに, 犬を用いて実験的にリチウム電池による食道潰瘍を作製し, 食道粘膜の傷害程度と電池の停滞時間の関係について組織学的に検討を行った. 対照としての100円硬貨の挿入後4時間の組織と電池挿入後1時間の組織では, 異常所見は認められなかった. 電池挿入後2時間では, 肉眼上異常所見は見られなかったが, 組織学的には粘膜上皮中間層の解離が認められた. 電池挿入後4時間では, 肉眼上も明らかな潰瘍性変化が認められ, かつ組織学的にも粘膜上皮の剥離, 脱落などの変性が認められた. 今回の実験結果から小児の異物誤飲時の治療指針としては, 早期に異物の種類を診断し, 特に組織傷害力が強い電池異物と診断された場合には, 異物誤飲後4時間以内の早期の摘出を心掛け, 重篤な合併症を回避することが重要と思われる.