著者
吉村 喜予子 木野 泰伸
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.1-29, 2021-06-15 (Released:2021-06-30)
参考文献数
17

製薬企業のコールセンターには,薬についての問い合わせが多く寄せられる.その内容は多岐に渡ることから,新製品発売準備に経験値がない場合は対応の困難が想定される.本研究では,発売初期の製品の問い合わせ内容の汎用性に着目し,発売初期の製品問い合わせ内容を入力データとして,テキスト分析することにより,問い合わせ内容の種類を概念として抽出し,構造化し,可視化した.さらに,抽出した概念を用いて同じ製品の期間別のデータと,疾患領域が異なる別製品のデータに対して適用し,汎用性を検証した.その結果,発売初期の製品から抽出した概念は,発売初期以降の期間と疾患領域が異なる製品においても包括的に適用可能であることが確認された.抽出した概念には期間によって増加傾向や減少傾向の特徴を示すものがあり,異なる2製品に増減傾向の共通性と特異性が確認された.このことから,新製品発売準備における実務的な示唆を得られた.