著者
吉村 喜代美 赤松 利恵 吉村 悦郎
出版者
日本健康教育学会
雑誌
日本健康教育学会誌 (ISSN:13402560)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.271-281, 2019

<p>目的:高齢男性が講師役を務める同性代の男性を対象とした料理教室を開催した.本稿ではその教室の内容を報告するとともに,受講生の本料理教室に対する評価と,講師役の意識変化を検討した結果を報告する.</p><p>活動内容:2017年1月,H市社会福祉会館にて活動している男性料理倶楽部会員8名(平均年齢72.0歳)が講師役となる料理教室を開催し,男性16名(平均年齢68.1歳)が受講した.受講生に対しては質問紙調査,講師役に対しては質問紙調査および料理教室開催前後のグループインタビュー調査を行った.さらに会食時における双方の自由発言を記録し分析した.</p><p>結果:受講生参加動機では,「今後必要だと思ったから」と「男性による料理教室に興味があったから」が参加者総数16名の内の80%を超えていた.教室の内容や男性講師については90%近くが高評価であり,教室が再開催した場合の参加希望は100%であった.受講生から男性講師役に対しては「同性ならではの共感」,「同じレベルゆえのメリット」などのカテゴリが抽出され,講師役からは「自覚の芽生え」,さらに双方から「今後への意欲」が見られた.</p><p>結論:高齢男性が講師役となって実施した料理教室は,受講生,講師役双方の調理への関心を増加させることが示唆された.また,再開催の要請もあり,今後も継続し発展していく可能性も示唆された.</p>