著者
佐々木 厚 吉村 正久 鈴木 誠一 森山 厳與 金浜 耕基
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.187-194, 2013
被引用文献数
2

赤色電球形蛍光ランプによる暗期中断時間と光強度がスプレーギクの開花と花房の形状に及ぼす影響について,秋ギク'ゴールドストックダークリネカー'および夏秋ギク'コイアローム'を用いて調べた.光源として,市販の白熱電球(対照光源,75 W)および660 nmの波長をピークにもち,赤色光を多く含む赤色電球形蛍光ランプ(21 W,試作品)を用いた.その結果,いずれの品種とも,商品価値の高い整った花房の形状を示す花芽分化抑制可能な光合成有効光量子束密度(PPFD)の下限値は,同じ暗期中断時間で比較すると,赤色電球形蛍光ランプを使用した場合に白熱電球を使用した場合より低かった.秋ギク品種では,赤色電球形蛍光ランプを使用して1時間の暗期中断を行った場合,花芽分化抑制可能なPPFDの下限値が示されたが,白熱電球を使用した場合では示されなかった.さらに,いずれの品種においても,赤色電球形蛍光ランプを使用した場合の花芽分化抑制可能なPPFDの下限値と,これに対応する暗期中断時間の積の値がほぼ一定になったことから,花芽分化抑制可能なPPFDの下限値と暗期中断時間は反比例の関係にあり,ブンセン-ロスコーの相反則が成り立っていると考えられた.<br>
著者
小野崎 隆 吉成 強 吉村 正久 八木 雅史 能岡 智 種谷 光春 柴田 道夫
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.363-367, 2006-12-15
被引用文献数
3

一重咲き,八重咲きの花型はカーネーションの重要形質の一つである.カーネーション連鎖地図作成に用いた集団を材料に,バルク法により一重咲き,八重咲きの形質に関与するRAPDマーカーを探索した.その結果,野生種Dianthus capitatus ssp. andrzejowskianus由来の劣性一重咲き遺伝子と連鎖する4つのRAPDマーカーが見いだされた.特に,同一のバンドパターンを示したOM19-800,AT90-1000,DT52-700は,一重の45個体で存在し八重の82個体で存在せず,一重八重の形質とマーカーバンドの有無が完全に一致し,一重咲き遺伝子に密に連鎖することが示された.これらのうちAT90-1000のSTS化に成功した.連鎖解析の結果,この一重咲き遺伝子は作成したカーネーション連鎖地図において第16連鎖群に座上することがわかった.得られたSTSマーカーの汎用性を検証するため,一重のカーネーション4品種からDNAを抽出してマーカーの有無を調べたが,4品種ともマーカーは存在せず,本分離集団以外への汎用性は認められなかった.
著者
鈴木 誠一 佐々木 厚 吉村 正久 佐々木 あかり 金浜 耕基
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.115-120, 2003-06-15
参考文献数
4

シンテッポウユリを種子親,ヒメサユリを花粉親として育成されたユリの新品種'杜の乙女','杜の精','杜のロマン'の半促成栽培〜超促成栽培の可能性を検討した.これら3品種は,普通栽培では5〜6月に開花する.初めに,新りん茎をプランターに植え付けて自然低温に遭遇させた後,11月1日〜3月1日に加温を開始すると,'杜の乙女'は2月24日〜5月3日,'杜の精'は3月14日〜5月6日,'杜のロマン'は4月1日〜5月10日に開花した.次いで,9月3日に新りん茎を掘り上げて5℃または13℃で4〜8週間低温処理を行ってから温室内に植え付けたところ,'杜の乙女'は12月23日〜1月17日,'杜の精'は1月6日〜1月21日,'杜のロマン'は1月25日〜2月15日に開花した.さらに,新りん茎を7月8〜28日に掘り上げて5℃または13℃で6週間低温処理を行ってから温室内に植え付けたところ,'杜の乙女'は10月16日〜11月11日,'杜の精'は10月17日〜11月15日,'杜のロマン'は11月5日〜12月1日に開花した.