著者
吉村 正和
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本研究の目的は、19世紀における心霊主義の展開を骨相学、社会主義(社会改革)、神智学、心霊研究協会などを中心に検討していくことにより、超自然・非合理に軸足をおく現象と一般に考えられている心霊主義が、それとは逆に理性主義的な思考法に基づく「合理宗教」という側面が強く見られることを検証することにあった。平成15年度においては、ジョージ・クームの骨相学を中心に検討し、ヒプノティズムと融合して骨相ヒプノティズムとなって心霊主義の潮流に合流する経緯をたどった。平成15年7月31日から8月29日まで夏季休暇期間を利用してロンドンとチューリヒに滞在してブリティッシュ・ライブラリー、心霊研究協会などの諸機関で同主題に関する資料調査を実施した。平成16年度においては、ブラヴァツキー夫人やアニー・ベサントなどの神智学、フレデリック・マイヤーズ(心霊研究協会)の心理学を中心に検討し、心霊主義が霊的進化論や心理学へと展開していく経緯をたどった。平成17年1月4日から1月12日まで冬季休暇期間を利用してシドニー大学フィッシャー図書館及びニューサウスウェールズ州立図書館で同主題に関する資料調査を実施した。平成15年度から平成16年度の2年間にわたる研究期間において、研究課題「19世紀のイギリス心霊主義の社会精神史的意義に関する研究」をほぼ当初計画通りに実施し、その成果を研究報告書(全48頁)にまとめることができた。
著者
吉村正和
出版者
名古屋大学
雑誌
言語文化論集
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, 2008-03-31