著者
吉池 佑太 岡田 美智男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.92, no.11, pp.743-751, 2009-11-01
被引用文献数
2

私たちは足もとにある「石ころ」に向かってコミュニケーションをとろうとはしない.なぜなら,「石ころ」をコミュニケーション可能な相手として"みなして"いないからである.私たちが「コミュニケーション可能な他者」として期待しているのは,同型な身体をもった他者である.同型な身体というのは,物理的に同型な身体をもっているということ以上に,他者を含む環境(物理的・社会的環境)と同型な関係をもっているということである.本研究では,人とロボットとの同型性について「実体」と「関係」という観点から特徴付けを行う.そして,Dennettの「志向姿勢」の議論を踏まえつつも,新たに「関係としての同型性」という観点を加えることで,「ソーシャルな存在」を見出すための要件について整理する.また,その帰属傾向を検証するためのプラットホーム(Sociable PC)と,Sociable PCを用いた評価実験について述べる.実験結果から得られた知見をもとに「ソーシャルな存在」を帰属させるデザイン可能性について議論する.