著者
隅田 重義 吉沢 貞一 越田 幹男 藤巻 裕蔵
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類研究所研究報告 (ISSN:00440183)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.124-132, 1990
被引用文献数
1

1.函館市郊外のトドマツ人工壮齢林で,1977~1989年のうち8年間,クマゲラの営巣を観察し幼鳥数と巣立日を明らかにした。また1989年には,営巣木や巣穴の形態を調べ,糞分析により幼鳥の食性を調べた。<br>2.幼鳥数は2~4羽で,平均3.3羽であった。性比は1:1であった。<br>3.営巣木はトドマツの生立木で,胸高直径は46~51cmであった。営巣木3本のうち,2本は巣穴側に,1本はそれとは反対側に傾いていた。<br>4.巣穴は営巣木に1個で,巣穴の地上高は4.0~5.9mであった。巣穴の出入口は縦径が90~110mm,横径が70~90mm,奥行270~330mm,出入口下端からの深さ360~410mmであった。<br>5.営巣木周辺の立木密度は594本/ha,基底面積は55.7m<sup>2</sup>/haであった。<br>6.育雛後期における幼鳥の主要な食物はアリ類であった。