著者
吉澤 裕子
出版者
旭川大学保健福祉学部
雑誌
旭川大学保健福祉学部研究紀要 = The journal of Faculty of Health and Welfare Science, Asahikawa University (ISSN:18837247)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.1-5, 2019-03-31

本研究は,看護学生が学習課題や実習といったストレッサーに耐えられるような自己教育力の向上を目指した取り組みである。学生5~6人のグループ(グループ群)による授業のリフレクションと教員の介入(教員介入群)によるリフレクションの効果を,3分類14項目の側面から検証した。その結果,グループ群では14項目のうち13項目において,教員介入群では全項目において理論的中央値より有意に差があることが分かった。このことから,リフレクションが「創造的な学習」「コミュニケーション力」「学習に対する自覚的姿勢」の3分類において効果的であることが示唆された。また,グループ群と教員介入群の比較を行ったところ,グループ群よりも教員介入群の方がリフレクションの自己評価が高いことが明らかとなった。しかし,このリフレクションの目的は,学習効果の自覚的意識ではなく,自己教育力を養うことにある。そこで,自由記述を概観したところ,学習意欲が低く私語に流れる学生がいるなど,受身的傾向が強く,知識の定着や学びを深めるという自覚の希薄さが感じられる学生もみられた。また,グループディスカッションのねらいを理解して取り組んでいたとは言い難く,主体的な学びに繋がらない学生がいることも明らかとなった。これらのことから,本研究において,自己教育力を養うためにリフレクションの効果はあるものの,クラス全体の学習意欲を上げるなど参加型授業としての工夫が課題であることが分かった。