著者
吉田 みゆき 高杉 由夫
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.123-135, 2001-03-05
被引用文献数
6

瀬戸内海という器は経済の高度成長に伴う埋め立て等によって大きく変形してきた。これらの地形変化が潮汐に及ぼす影響を見るため, 過去30年間の潮汐の経年変化を調べた結果, 半日周潮(M_2)の振幅は, 大阪湾で減少(約2.3cm), 瀬戸内海中央部の備讃瀬戸では大きく増加(約4cm), 周防灘奥部ではやや減少, その西端に位置する関門海峡では大きく減少(約5cm)していた。関門海峡では日周潮も変化しており, 振幅は減少(約1cm)し位相は遅れてきていた。これらについて一次元理論より考察した結果, 埋め立て・浚渫・架橋などの影響により瀬戸内海の固有周期が短くなり, 半日周潮の明石海峡付近の節は東へ移動し, その結果大阪湾では減少してきていた。