著者
山形 亘 磯貝 俊明 小木曽 正隆 吉田 彩乃 西村 睦弘 田中 博之 手島 保
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.50, no.11, pp.1243-1248, 2018-11-15 (Released:2019-12-25)
参考文献数
16

症例は43歳男性.覚醒剤使用で服役中,運動時に心室細動による心肺停止となり,自動体外式除細動器で除細動され当院に搬送された.心電図で陰性T波を認めたが,心エコー検査では壁運動異常を認めなかった.緊急冠動脈造影で右冠動脈に数珠状のびまん性冠動脈瘤を認めた.血管内超音波検査で複数の隔壁を有し複雑に拡張した血管径の大きい病変であったため,経皮的冠動脈形成術は困難と判断した.薬物治療と心室細動の二次予防として植込み型除細動器を留置した.覚醒剤やコカインなどの違法薬物は心血管系に作用し,動脈瘤を形成しうるとされる.本症例では覚醒剤の使用は病歴聴取により確認できたものの,コカインなどの他の違法薬剤の使用歴は明らかにできず,また本症例と同様の病変を示す違法薬物患者の先行報告がないため,違法薬物自体とこの特殊な冠動脈病変との因果関係について断定はできない.しかしながら,川崎病や自己免疫疾患による血管炎の既往はなく,通常の動脈硬化病変とは考えにくい特殊な病変であったことから,違法薬剤が数珠状冠動脈病変の形成に関与した可能性が示唆された.
著者
吉田 彩乃 櫻沢 繁
出版者
日本コンピュータ化学会
雑誌
Journal of Computer Chemistry, Japan (ISSN:13471767)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.17-21, 2017 (Released:2017-05-03)
参考文献数
7

複雑な実世界に適応するロボットを開発するために,生物の階層性を模倣したシステムが開発されている.しかしそれらのシステム全体を制御するための同期機構は,コンピュータによる計算によって構成されている.そのアルゴリズムは設計者によってシステムの外部から与えられているため,フレーム問題を回避できない.フレーム問題を回避するためは,システムの内部から生ずる計算アルゴリズムによってシステムが動作する必要がある.そこで我々はBZ反応が計算として機能することに着目し,BZ反応による自励振動ゲルを用いて,アルゴリズムを与える事無く自発的に一方向の運動を示す化学ロボットの開発を目指した.その結果,BZ反応に寄与する物質の拡散速度とゲルの形やサイズのバランスをとることで,内生的に非対称性を作りだすことと,その化学反応によって実際にゲルが一方向に蠕動運動することを具体的に示すことに成功した.