- 著者
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吉田 栄夫
- 出版者
- 国立極地研究所
- 雑誌
- 南極資料 (ISSN:00857289)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.3, pp.186-205, 1987-11
第27次南極地域観測隊は, 吉田栄夫隊長以下50名(うち内藤靖彦越冬隊長以下35名が越冬隊)で編成され, これに南極輸送問題調査会議の村山南極本部委員をはじめ, 運輸省船舶技術研究所, 海上保安庁からの調査者4名が夏期間同行した。1985年11月14日東京湾を出港した「しらせ」は, オーストラリアのフリマントル港に寄港中, エンダービーランド沖で40日余りにわたって厚い密群氷のため行動の自由を失った, オーストラリアがチャーターした観測船「ネラ・ダン」救出の命令を受け, 航路や観測の一部を変更して直行し, 12月14日氷からの解放に成功, 16日その任務を完了した。この後ブライド湾沖に12月10日に到着, 約110tの物資輸送, あすか観測拠点の発電棟建設, ブライド湾でのバイオマス観測などを行い, 8名のセールロンダーネ地学調査隊を残して, 「しらせ」は12月31日昭和基地へ向かい, 1986年1月4日昭和基地に到着し, 約760tの物資輸送, 鉄骨2階建て作業工作棟ほかの建設作業, 航空機の搬入と短期間の運航, 野外調査などを実施した。2月7日, 昭和基地近傍を離れて再びブライド湾に向かった「しらせ」は, リュツォ・ホルム湾の厚い密群氷帯の突破に2日間の苦闘を強いられたが, 2月11日ブライド湾に到着し, 第26次越冬隊の内陸調査隊, 第27次夏隊のセールロンダーネ調査隊を, 11日, 12日に収容し, その後係留ブイ揚収ほかのブライド湾バイオマス観測, グンネルスバンク, リュツォ・ホルム湾沖などの氷縁付近から北上航路での海洋観測などを天候の許す限り実施しつつ, ポートルイス, シンガポールを経て, 4月20日東京港に帰港した。