著者
吉田 正己 手塚 正
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.177-181, 1989 (Released:2010-08-25)
参考文献数
6
被引用文献数
1

水痘・帯状疱疹患者40例を対象として, ウイルス特異抗原の検出とウイルスの分離を試み, 両方法のウイルス学的診断法としての有用性を比較検討した。ウイルス特異抗原の検出率は95%で, ウイルスの分離率は70%であった。塗抹標本でのウイルス特異抗原の検出は迅速かつ簡便であり, 検出率も高いことから, 水痘・帯状疱疹におけるウイルス学的診断法として臨床的に非常に有用な方法と考える。
著者
吉田 正己
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.272-277, 1985-04-01 (Released:2012-03-15)
参考文献数
27
被引用文献数
2 2

昭和54年2月から昭和57年5月までの期間に臨床的に皮膚粘膜の単純ヘルペスと診断した134例(そのうち分離陽性107例)を対象とし, ウイルスの分離率と分離ウイルス株の型別を検討し, 次の結果を得た。1)発疹の形態別によるウイルス分離率: 小水疱と膿疱から95%以上, 糜爛と痂皮下糜爛から75%以上にウイルスを分離できた。さらにアフタ, 潰瘍, 丘疹, 水疱前紅斑からも分離できた。しかし痂皮と水疱後紅斑からは全く分離できなかつた。2)病日とウイルス分離率の変動: 1病日100%から6病日57%まで漸減傾向を認めた。しかし7病日から30病日の検索でも今回は注意深く湿潤病巣を捜し出したところ67%に分離できた。3)病巣部位別によるウイルスの型別: 顔および体幹上半からは75例すべて単純ヘルペスウイルス(HSV)1型が分離され, 手からは6例中2例にHSV 2型が分離された。臀部と男子外陰部の14例からはすべてHSV 2型が分離されたが, 女子外陰部からは5例中4例にHSV 1型が分離された。とくに成人の初感染11例はすべてHSV 1型であり, このうち女子外陰部, 乳房, 口腔に生じた6例が性的接触による感染と考えられた。