著者
上林 譲 寺村 浩一 下城 真佐子 吉田 紘子 深田 恒夫
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.67-70, 2004 (Released:2007-11-02)
参考文献数
10

犬におけるワクチネーションプロトコールを検討するにあたり、その基礎的資料を提供するために、臨床上健康な犬でコアワクチンである犬パルボワクチン(CPV)および犬ジステンパーワクチン(CDV)を毎年接種している犬(毎年接種群)と3年前に接種し、それ以降接種していない犬(3年毎接種群)の抗体価を比較検討した。CPV Hemoagglutianting inhibition(HI)抗体では毎年接種群と3年毎接種群の間に有意差(p<0.05)が認められた。感染防御ありとした64倍以上抗体価を示した犬は毎年接種では17頭中全頭であり、3年毎接種では18頭14頭(78%)であった。CDV中和抗体では毎年接種群と3年毎接種群の間に有意差は認められなかった。64倍以上の抗体価を示した犬は毎年接種では17頭中16頭(94%)であり、3年毎接種では18頭中11頭(61%)であった。したがって、臨床獣医師にとっては犬の疾病予防の責任を果たす必要からこれらの混合ワクチンは毎年接種が必要と思われる。
著者
入江 洋司 吉田 紘子 甲斐 勝行 牧野 泰司 柴田 真治 鬼頭 克也
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.417-422, 2019-07-20 (Released:2019-08-20)
参考文献数
28

臨床的に健常な犬123頭を対象に,動物専用のドライ式血液凝固分析装置(COAG2V)によるプロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),血漿フィブリノゲン濃度(Fib),トロンボテスト(TB)及びへパプラスチンテスト(HPT)の基準範囲を決定した.測定にはクエン酸血漿を用いた.項目ごとに測定値が正規分布していることを確認した後,四分位法で外れ値を除外し,測定値の平均値±1.96標準偏差を基準範囲とした.その結果,PTの基準範囲は7.1〜8.4sec,TBは11.7〜14.6sec,HPTは9.8〜16.2sec,APTTは13.7〜25.6secであった.Fibでは対数変換により正規分布化し,同様の方法で基準範囲を算出後に逆変換したところ,基準範囲は113〜385mg/dl であった.