著者
佐々木 慎哉 保田 恭志 柴田 真治 高島 諭 西飯 直仁 高須 正規 大場 恵典 北川 均
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.63, no.8, pp.625-629, 2010-08-20 (Released:2016-09-07)
参考文献数
20

自然発症した僧帽弁閉鎖不全の犬54例において,アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)とスピロノラクトンの長期併用時における血漿カリウム濃度を検討した. 3~95カ月の試験期間中に,スピロノラクトン非併用群とスピロノラクトン併用群ともに臨床症状が徐々に進行し,心臓陰影サイズは49週以降にわずかに拡大する傾向にあった. 投与期間中に,スピロノラクトン非併用群,併用群とも明瞭な持続性の高カリウム血症は認められなかった. 僧帽弁閉鎖不全の犬では,血漿電解質等のモニターは必要であるが,ACEI とスピロノラクトンの併用を考慮してもよいと考えられた.
著者
入江 洋司 吉田 紘子 甲斐 勝行 牧野 泰司 柴田 真治 鬼頭 克也
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.7, pp.417-422, 2019-07-20 (Released:2019-08-20)
参考文献数
28

臨床的に健常な犬123頭を対象に,動物専用のドライ式血液凝固分析装置(COAG2V)によるプロトロンビン時間(PT),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),血漿フィブリノゲン濃度(Fib),トロンボテスト(TB)及びへパプラスチンテスト(HPT)の基準範囲を決定した.測定にはクエン酸血漿を用いた.項目ごとに測定値が正規分布していることを確認した後,四分位法で外れ値を除外し,測定値の平均値±1.96標準偏差を基準範囲とした.その結果,PTの基準範囲は7.1〜8.4sec,TBは11.7〜14.6sec,HPTは9.8〜16.2sec,APTTは13.7〜25.6secであった.Fibでは対数変換により正規分布化し,同様の方法で基準範囲を算出後に逆変換したところ,基準範囲は113〜385mg/dl であった.
著者
駒澤 敏 柴田 真治 酒井 洋樹 伊藤 祐典 川部 美史 村上 麻美 森 崇 丸尾 幸嗣
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.395-400, 2016-07-20 (Released:2016-08-20)
参考文献数
16

岐阜県で犬腫瘍登録制度を立ち上げ,平成25年度の家庭犬飼育状況,腫瘍発生,粗腫瘍発生率の疫学調査を実施した.県内動物病院の33.6%から届出があり,731例の解析を行った.飼育頭数(狂犬病注射接種頭数)と推計腫瘍症例数(調査用紙の回収率)から犬種ごとの粗(悪性)腫瘍発生率を算出し,全体では1.5%(0.6%)であった.発生率が高い(P<0.05)犬種は,ダックスフンド2.6%(1.3%),シー・ズー2.4%,シュナウザー2.5%(1.4%),パグ3.8%(1.9%),ウエルシュ・コーギー3.3%(2.2%),ビーグル2.2%(1.4%),シェットランド・シープドッグ3.2%,フレンチ・ブルドッグ3.2%(1.3%),ラブラドール・レトリバー3.2%(2.5%),ゴールデン・レトリバー2.7%(2.2%),バーニーズ・マウンテンドッグ8.2%(7.1%)であった.低い(P<0.05)犬種はプードル1.1%(0.3%),チワワ0.5%(0.3%),ポメラニアン0.9%,柴犬0.7%(0.3%)と雑種1.0%(0.6%)であった.
著者
信田 卓男 石川 剛司 八野田 健 山根 悠太郎 安藤 健二 上條 圭司 柴田 真治 浅利 昌男
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.1-8, 2012-11-28 (Released:2012-11-28)
参考文献数
13
被引用文献数
1

健康犬の乳腺からのリンパ流路について調べた。解剖学的研究では、リンパ流路の多くが定型的パターンを示したが、個体により変異も見られた。CT 分析では、造影剤を乳腺皮下に少量注射すると非侵襲性で迅速にリンパ経路を可視化することができた。これらのことから、臨床では各個体で、3D-CT によるリンパ造影をすることで、変異のあるリンパ流路の特定が容易になり、その結果、その個体にあった最も適切な乳腺腫瘍の外科切除と予後判定の実施が可能になると思われた。