著者
浜川 弘茂 柴田 早苗 井上 育生 深田 恒夫
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.12-16, 2013-03-20 (Released:2014-05-14)
参考文献数
7

多くのアスリートがアクアチタン含有首輪(アクア首輪)を付けて競技を行っている。その効果は多く謳われているが,その効果のメカニズムに関して,近年,実験動物を用いて行われたものが報告されてきた。しかしながら,このアクア首輪を装着した犬に関する報告はない。今回,アクア首輪を2頭の犬に装着し,その行動の変化を調べた。それらの犬においては,装着後行動が活発になった。アクア首輪の効果を解明するために,5頭のビーグルにアクア首輪を装着し,対照群として装着していない犬5頭共に自動車による3時間の移動ストレスを与えた。そして,ストレスマーカーである白血球数,リンパ球数,血清コルチゾールおよび唾液中クロモグラニンAを調べた。その結果,すべての項目において,ストレスパターンを示したが,両群間に差がみられなかった。しかしながら,血清コルチゾール値の相対値が,ストレス負荷時においてアクア首輪群が対照群と比べて有意に低かった。したがって,犬においてアクア首輪はコルチゾール抑制効果を示す可能性を示された。
著者
上林 譲 寺村 浩一 下城 真佐子 吉田 紘子 深田 恒夫
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.67-70, 2004 (Released:2007-11-02)
参考文献数
10

犬におけるワクチネーションプロトコールを検討するにあたり、その基礎的資料を提供するために、臨床上健康な犬でコアワクチンである犬パルボワクチン(CPV)および犬ジステンパーワクチン(CDV)を毎年接種している犬(毎年接種群)と3年前に接種し、それ以降接種していない犬(3年毎接種群)の抗体価を比較検討した。CPV Hemoagglutianting inhibition(HI)抗体では毎年接種群と3年毎接種群の間に有意差(p<0.05)が認められた。感染防御ありとした64倍以上抗体価を示した犬は毎年接種では17頭中全頭であり、3年毎接種では18頭14頭(78%)であった。CDV中和抗体では毎年接種群と3年毎接種群の間に有意差は認められなかった。64倍以上の抗体価を示した犬は毎年接種では17頭中16頭(94%)であり、3年毎接種では18頭中11頭(61%)であった。したがって、臨床獣医師にとっては犬の疾病予防の責任を果たす必要からこれらの混合ワクチンは毎年接種が必要と思われる。
著者
安田 憲司 橋川 真之介 坂本 弘美 冨田 悠一 柴田 早苗 深田 恒夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.205-208, 2007-02-25
参考文献数
23

乳酸桿菌とデキストランを含んだ新シンバイオティクスの効果を調べるためにホルスタイン牛は泌乳条件に差がない58頭を選んだ.牛は無作為に2群に分け,A群にはコントロールとして基礎飼料を,B群にはシンバイオティクスを2004年8月から1年間投与した.シンバイオティクス投与後,乳量および成分について2004年8月から2005年8月までA群とB群を比較検討した.B群の乳量はA群より多く,調べたすべての値において両者間で有意な差(p<0.01あるいはp<0.05)があった.更に,脂肪量,蛋白量および非脂肪固形物においてB群は有意に増加していた.また,A群において2004年8月及び2005年4月では体細胞数が有意に増加していた.これらの結果,乳酸桿菌とデキストランを含んだ新シンバイオティクスは年間を通してホルスタイン牛の乳量・乳質を高めることを示した.