著者
望月 利男 吉田 義実
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.47, pp.5-22, 1992-12

1991年台風19号は、9月27日夕方、長崎県佐世保市に上陸し28日午後3時、オホーツク海で、温帯低気圧にかわった。この間、各地の観測史における最大風速記録を更新して、その史上まれにみる強風で各地に大被害をもたらした。この報告は、広大な被災地のうち、特に大都市広島市に的を絞り、かつ主として電力途絶による都市機能支障・市民生活への影響さらには組織と住民の対応、電力を中心とする応急復旧の実態の調査に関するものである。電力はライフラインの要である。台風による直接被害とその後の塩害による停電、それに伴う断水、電話支障などが3日以上継続した地域もあった。一般的にいえることだが、大地震を別とすれば、長期停電・断水など我国では起こりえないと誰もが考えている。建物とその諸設備、その他の都市施設はそれを前提として造られ、維持されている。それゆえ、電力途絶時に広島市で起こった正に末端に至るまでの都市機能・生活支障の実体は大きな教訓を私達に与えてくれる。この報告では、それらの事実をできるだけ伝え、東京大都市圏など大都市の脆弱性を多分野の防災研究者・実務者と共に考え、日頃の備えの重要性を広く呼びかけたい。
著者
望月 利男 吉田 義実
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.47, pp.p5-22, 1992-12

1991年台風19号は、9月27日夕方、長崎県佐世保市に上陸し28日午後3時、オホーツク海で、温帯低気圧にかわった。この間、各地の観測史における最大風速記録を更新して、その史上まれにみる強風で各地に大被害をもたらした。この報告は、広大な被災地のうち、特に大都市広島市に的を絞り、かつ主として電力途絶による都市機能支障・市民生活への影響さらには組織と住民の対応、電力を中心とする応急復旧の実態の調査に関するものである。電力はライフラインの要である。台風による直接被害とその後の塩害による停電、それに伴う断水、電話支障などが3日以上継続した地域もあった。一般的にいえることだが、大地震を別とすれば、長期停電・断水など我国では起こりえないと誰もが考えている。建物とその諸設備、その他の都市施設はそれを前提として造られ、維持されている。それゆえ、電力途絶時に広島市で起こった正に末端に至るまでの都市機能・生活支障の実体は大きな教訓を私達に与えてくれる。この報告では、それらの事実をできるだけ伝え、東京大都市圏など大都市の脆弱性を多分野の防災研究者・実務者と共に考え、日頃の備えの重要性を広く呼びかけたい。This report shows the lifeline system interaction and its resulting socio-economic effects occurred in Hiroshima City during the large-scale suspensions of supply of electricity caused by the Typhoon 19 of 1991 and sequential injury from salt. On September 27,strong south winds struck the city and began the power failure for about 390,000 household (≒99% of customers),which lasted for the next five days for some customers. This is the first large-scale lifeline functional disruption occurred in those urban regions (cities) in Japan which have more than a population of one million after the World War II. Based on the facts reported five newspapers between Septemer 28 and November 28,we decided the way how we shall carry the on-the-spot survey. The Survey was executed in it was obtaining the data and hearing from the various public organizations including 4 hospitals,which implemented their emergency operations during pre-,and post-typhoon. Also,we carried on the interviews some private sectors and residents on their responses to this disaster. The electric power company had little prepared itself for the damage by injury from salt. Therefore suspension of supply of electricity continued long time as mentioned above. Power disruption also created vast and profound effects on the various kinds of urban and daily life function: the suspensions of water supply,heavy congestions of traffic and communication systems and so on. It emphasized the various kinds of vulnerability of the society depending on high technology.