著者
郷間 英世 吉田 高徹 牛尾 禮子 池田 友美
出版者
日本重症心身障害学会
雑誌
日本重症心身障害学会誌 (ISSN:13431439)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.199, 2017

目的 特別支援学校に看護師が配置され医療的ケアを担うようになったものの、看護師と教員の立場の違いによる連携の困難さを感じることが少なくない。そこでその問題点や課題について調査を行った。 方法 対象は近畿地方A県の「医療的ケア」を実施している特別支援学校30校の教員各3名および看護師各2名である。質問内容は「情報交換が十分かどうか」、お互いに「望むことや、理解してほしいこと」などであった。回答は、選択式質問はχ2検定を、記述内容はコード化しカテゴリーに分類した。 結果 18校(60.0%)から回答があり、教員45名看護師33名分を分析した。障害について情報交換が十分と回答したのは教師42名(93.3%)看護師16人(48.5%)、ケアの手技について情報交換が十分と回答したのは教師37名(82.2%)看護師14人(42.4%)と看護師は教員より低値で有意差(いずれもp<0.01)を認めた。記述内容では、教員は看護師に対し『十分コミュニケーションが取れている』という記述もあったが、「最大限活動に参加させたい教員の気持ちを尊重してほしい」「安全第一で守り過ぎないように」など『教育活動の理解』や「看護の立場からの考えや方向性を教えてほしい」「教育の場での医療的ケアについて共通理解をしたい」など『看護の考え方の理解や話し合いの必要性』を望む意見もみられた。看護師から教員に対しては「生育歴や内服薬など」「保護者と教員のやり取りの内容」など『ケア以外の情報の伝達や共有』、「安全への意識」「身体的な問題の基本的な理解」など『教師の医療的考えの理解不足』、「教育計画を立てるときの相談」「打ち合わせや話し合いの時間」など『コミュニケーション不足』について多くの記載が認められた。 考察 医療的ケアが必要な子どもに関わる教員と看護師の考え方の違いが認められ、お互いの立場の理解や連携のあり方についての方法の検討が必要と考えられた。