著者
吉見 雄三 藤村 政樹 安井 正英 笠原 寿郎 中尾 真二
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.502-507, 2004
被引用文献数
1

呼吸器疾患における吸入薬は,近年ドライバウダー吸入(DPI)が普及し,圧作動式定量噴霧吸入(pMDl)に取って変わりつつある.しかし両薬剤には吸入流速による肺沈着率に違いがみられる.今回,安定期喘息患者8名を対象として,サルブタモールをTurbuhalerとpMDIの2つのデバイスを用いて吸入させ,その効果を薬剤吸入後の呼吸機能の改善度を指標として比較検討した.pMDIとDPIの比較では,吸入後の1秒量の経時的変化は両群間に有意差を認めなかった.両デバイスの吸入効果の差を表す指標としてΔAUCとΔmaxFEV_iを定義し,試験前の呼吸機能の指標との相関を検討したところ,1秒量・1秒率の低下している症例はど,pMDIの方がDPIよりも吸入後の呼吸機能の改善度が強い傾向がみられた.この成績は,吸入流速と薬剤沈着率との関係を反映したものと推察された.低呼吸機能患者に対する有用性があるため,今後もpMDI製剤は-部の患者には必要で,また吸気流速測定によるデバイスを使い分け等も考慮すべきであると考えられた.