著者
吉野 和芳
出版者
神奈川工科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

ビデオ映像処理による球技のコーチング支援を目的として,本年度は,ハンドボールゲームにおける攻撃時のフォーメーションに主眼をおき,シューターへ最終パスを送った選手をラストパッサーと定義し,ラストパッサーの動きに注目して攻撃フォーメーションの分析と評価を行った.具体的には,本年度の成果は次の2点にまとめることができる.1.選手同士の位置関係によるフォーメーションのモデル化と分類ラストパッサーがボールを受けたときとパスを送ったときの2時刻におけるラストパッサーのコート上の位置の変化により,攻撃フォーメーションを分類した.位置の変化は,ハンドボールコートを19の領域に分割し,それら領域の変化として定性的に表した.また,それぞれの時刻におけるラストパッサーと敵チームの選手との距離の総和の比率を引きつけ率として定義することで求め,ラストパッサーの動きの有効性という観点から攻撃フォーメーションの評価を行った.チームレベルが異なる3チームを敵チームとして,それぞれ同様の評価を行ったところ,チームレベルと評価値において相関がみられたことから,チームのディフェンスレベルの評価への利用も期待できる.2.オフェンスのパスワークによる攻撃パターンの分類チームの攻撃パターン特徴を検出するため,ラストパッサーの位置とラストパッサーからシューターへのパスの方向によって攻撃パターンの分類を行った.得られた攻撃パターンの割合からチームの攻撃特徴を推測した結果,分析対象としたチームの特徴と一致したことから,本手法による分類の妥当性やチーム分析への有効性が確認できた.
著者
吉野 和芳
出版者
神奈川工科大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本年度は,要介護高齢者や障害者の意図理解を目的として,色の異なるパッチを複数付けたカラーパッチ手袋を利用し,動作を伴うジェスチャ表現における手の形状,手指や腕の動きを検出する手法について検討した.具体的には,本年度の成果は次の2点にまとめることができる.1.カラーパッチ手袋を利用した腕の動き追跡と手指形状推定方法の検討ジェスチャ表現を行っている話者の上半身をビデオカメラで撮影した映像からカラーパッチ手袋上に張り付けたカラーパッチ部分を抽出し,それらの抽出されたカラーパッチ群の映像上での重心を求め,その重心の軌跡から腕の動きを検出することを行った.このとき,映像内では話者の上半身部分を撮影しているために抽出されるカラーパッチのサイズが小さくなり手指形状の推定が困難となることから,コンピュータによる制御が可能なアクティブカメラで話者の手指部分のみを前述の重心軌跡をもとに追跡撮影し,その映像から手指形状の推定を行った.2.連続映像からのジェスチャ単語分割とマカトンサインへの適用追跡撮影された話者の手指部分の連続映像からそれぞれ映像内のカラーパッチ群を抽出し,それらのカラーパッチの色の組合わせの遷移を求め,その遷移状態にしきい値を設定してジェスチャの単語を分割することを行った.さらに,両手分のカラーパッチ手袋を作成し,マカトンサインの推定を試みた.その結果,単語数の増加により推定率は低下するものの適用可能であると期待できる.