著者
吉野 敏行
出版者
河原学園 人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.57-73, 2016 (Released:2018-04-23)

A(I 人工知能)の急速な発展が今後の経済社会にどのような影響を及ぼすか、特に資本主義社 会への影響とポスト資本主義社会への展望について考察した。資本主義社会は本来的に資産家 と労働者との所得格差を拡大する仕組み(ピケティのr > g)をもっているが、先進諸国では、す でに利子率と経済成長率がゼロ水準となり、利潤率も2%以下に低下しつつある。さらにAI が 人間の知能を凌駕する「シンギュラリティ」までに、労働力人口の5 割から最大9 割がAI と労 働代替すると予測され、資本主義社会はすでに末期状態にある。ポスト資本主義社会は「20 世 紀の社会主義社会」とは異なる「理想の社会主義社会」である。基本的人権が保障され、ベーシッ クインカムが所得原則となり、AI による最適な計画経済が実現される経済成長率ゼロの「定常 世界」である。AI は資本主義の終焉と真正社会主義社会を実現する物質的・技術的基盤である。
著者
吉野敏行
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.57-73, 2016-12-31

A(I 人工知能)の急速な発展が今後の経済社会にどのような影響を及ぼすか、特に資本主義社会への影響とポスト資本主義社会への展望について考察した。資本主義社会は本来的に資産家と労働者との所得格差を拡大する仕組み(ピケティのr > g)をもっているが、先進諸国では、すでに利子率と経済成長率がゼロ水準となり、利潤率も2%以下に低下しつつある。さらにAI が人間の知能を凌駕する「シンギュラリティ」までに、労働力人口の5 割から最大9 割がAI と労働代替すると予測され、資本主義社会はすでに末期状態にある。ポスト資本主義社会は「20 世紀の社会主義社会」とは異なる「理想の社会主義社会」である。基本的人権が保障され、ベーシックインカムが所得原則となり、AI による最適な計画経済が実現される経済成長率ゼロの「定常世界」である。AI は資本主義の終焉と真正社会主義社会を実現する物質的・技術的基盤である。
著者
吉野 敏行
出版者
人間環境大学
雑誌
人間と環境 (ISSN:21858365)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.21-29, 2012-07-31

循環型社会は物質的な閉鎖系である。リサイクルは天然資源の消費量と廃棄物の排出量を削減して環境資源の保全に有効であるが、他方で、リサイクルの繰り返しは再生資源に不純物を蓄積して物エントロピーを増大させる。再生資源の物エントロピーを低減させるためには、外部環境から低エントロピーのエネルギーを投入し、高エントロピーの排ガス・廃熱を外部環境へ排出しなければならない。したがって、循環型社会が化石燃料などの枯渇性エネルギーに依存しているかぎり、環境保全は限定的である。循環型社会と再生可能エネルギーの大規模利用は、持続可能な社会の建設にとって不可欠の車の両輪である。