著者
落合 俊輔 齋藤 彰 髙柳 聡 玉木 康信 名倉 誠朗 三原 政彦 平川 和男
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
pp.1201-1204, 2018-11-01

は じ め に 本邦において人工股関節全置換術(total hip arthroplasty:THA)後に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とアセトアミノフェンを併用して内服した鎮痛方法の有用性を報告したものはない.THAの術後疼痛管理は,低侵襲手術や早期リハビリテーションの利点を最大限に活かすために重要な課題の一つである. 近年,術後疼痛管理の方法としては多様式鎮痛(multimodal analgesia)の概念が普及している1).多様式鎮痛は異なる作用機序の鎮痛方法,鎮痛薬などを組み合わせることにより,多角的に鎮痛を行い,さらにそれぞれの鎮痛方法や薬剤の副作用を低減する方法である. 多様式鎮痛で使われる薬剤のなかで,NSAIDsは消炎鎮痛効果があるため,術後鎮痛の基本的薬剤となっているが,消化性潰瘍のリスクがあるため最近ではCyclooxygenase-2(COX-2)選択的阻害薬のセレコキシブが多く用いられるようになっている.アセトアミノフェンはその作用機序は明確に解明されてはいないが,NSAIDsとは作用機序が異なりCOX阻害作用がないため,NSAIDsで懸念される消化性潰瘍や腎障害,抗血小板作用など副作用が少ないとされる2).このため多様式鎮痛では,ほかの薬剤と併用しやすい薬剤とされており,欧米での術後疼痛管理におけるガイドラインでは,禁忌でない限り,NSAIDsとアセトアミノフェンを併用することが推奨されている3,4). 以前にわれわれは,THAの術後鎮痛におけるアセトアミノフェン点滴製剤の有用性を報告した.しかし,現状,本邦ではアセトアミノフェン点滴製剤の保険適用は経口摂取困難な術後となっているため,経口摂取が可能になった後には内服に切り替える必要がある.これまで,THAの術後疼痛管理においてNSAIDsとアセトアミノフェンの内服を併用した報告はない.本研究の目的は,THAの術後鎮痛におけるCOX-2阻害薬(セレコキシブ)とアセトアミノフェンの内服を併用した鎮痛方法の有用性を明らかにすることである.
著者
三木 功次郎 北村 誠 榊原 和彦 名倉 誠 長瀬 潤 新野 康彦 直江 一光 宇田 亮子 松尾 賢一 山口 賢一
出版者
日本高専学会
雑誌
日本高専学会誌 : journal of the Japan Association for College of Technology (ISSN:18845444)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.113-118, 2010-08-30

平成18年度より,学生の技術者としての総合的な能力向上を目指して,課外活動を活用して様々なサイエンス活動を行う技術者教育プロジェクトを実施している.活動内容は,科学研究コンテスト等での研究発表,国際科学オリンピックへの参加,サイエンスボランティア活動などで,国際生物学オリンピックでの銅メダル獲得,研究発表会での最優秀賞受賞,ボランティア活動での表彰など多くの成果を挙げている.大会での入賞などを具体的目標として提示し,授業から離れて,各学生がその能力・興味に応じて活動を行うことにより,創造性・問題解決能力・コミュニケーション能力の向上など,多面的な教育的効果が得られることが分かった.また,活動する学生の受け皿として,同好会組織であるサイエンス研究会を立ち上げ,学生が自主的かつ組織的な活動を行うことで,ノウハウの継承,リーダーシップの育成,協調性の向上を行うことができ,教員の負担も大きく増やすことなく実施可能であった.これらの活動は,「人間力」向上にも役立っており,実践的な技術者の養成に非常に有効な手段であると考えられる.