著者
名畑目 真吾
出版者
日本読書学会
雑誌
読書科学 (ISSN:0387284X)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3-4, pp.146-159, 2021-05-10 (Released:2021-05-26)
参考文献数
29

This study aims to investigate the cohesion features of material marked for young readers of English and to examine whether such features predict their readability. A total of 129 texts were collected from the material written for young readers of English. These texts varied in the levels of difficulty (readability) assigned by experts. The texts were analyzed using a computational tool, the Tool for the Automatic Analysis of Cohesion (Crossley et al., 2019), that produces over 150 indices related to text cohesion. Some indices were selected after controlling for correlations, normality, and multicollinearity, and were then used as predictors in the multiple regression analysis to estimate the readability level of the texts. The results demonstrated that the combination of indices in (a) verb overlap between adjacent two sentences, (b) semantic overlap between adjacent sentences, (c) the use of temporal connectives, and (d) the number of repeated content words accounted for 37% of the variance in readability. The difficulty level of the texts increased as they contained less verb overlap and semantic overlap between sentences, and showed less repetition of content words, but included more temporal connectives. These results have been discussed in the paper in light of the theories of discourse comprehension and characteristics of texts written for young readers. The study's findings provide theoretical implications for developing reading materials for young learners of English. The findings also highlight the importance of considering the multidimensional features of text cohesion as well as the developmental stages of targeted readers when evaluating text readability.
著者
名畑目 真吾
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
小学校英語教育学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.14, no.01, pp.131-146, 2014-03-20 (Released:2017-07-27)
参考文献数
11

本稿の研究は,小学校教員を志す大学生の英語活動に関する意識調査を報告し,大学における望ましい小学校教員養成を考える一助とすることを目的としたものである。この目的の下,小学校教員を志望する大学1 年生を対象に,小学校英語活動への印象,英語活動の実践に必要だと考える能力・資質,英語活動の実践のために大学で学びたいことの3 つを観点として,項目に対する5 段階評価と自由記述を含むアンケート調査を行った。その結果,協力した学生は小学校における英語活動の必要性は高いと感じている一方で,その多くは自身が教員になって活動を実践することへ不安を感じていることが明らかになった。また,協力した学生は英語活動の実践に様々な能力・資質が必要だと感じていたものの,その中でも特に発音を含む教員のスピーキング力が肝要であると考えている傾向にあった。英語活動の実践のために大学で学びたいことについては,多くの学生が4 技能に関わる自身の英語力を高めることや,指導法を学ぶための授業見学・実習などの機会が与えられることを強く望んでいた。さらに,英語活動における小中連携への意識が希薄である学生の存在も調査結果から指摘された。これらの結果に加え,協力者を英語の好き嫌いなどの属性で分類して比較した結果も踏まえて,本調査に協力した学生に対する望ましい教員養成課程の在り方について検討した。
著者
名畑目 真吾
出版者
共栄大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究課題の目的は,単語や文の意味的な関連が日本人英語学習者のテキスト理解とどのように関わっているのかを明らかにすることである。本課題における意味的な関連とは,言語コーパスと統計分析に基づいて算出・評価される,単語や文が表す概念間の類似度を指す。研究期間1年目である本年度では,本課題の基盤となる実証研究及び教材分析研究を行った。実証研究では,2文1組の英文を先行研究に基づいて複数作成し,実験材料とした。これらの英文は文間の意味的な関連度の高低が操作されており,潜在意味解析 (latent semantic analysis; LSA) によってその関連度の違いが数値として評価された。実験では,協力者である大学生がこれらの英文をコンピューター上で1文ずつ読解し,読解後には1文目を手掛かりとして2文目の内容を想起する筆記再生課題が行われた。文の読解時間及び再生課題成績を統計的に分析した結果,全体としては高い意味的関連度を持つ英文ほど素早く処理され,読解後の記憶にも残り易い傾向が示された。この結果は,コーパスと統計分析に基づいて評価される文間の意味的な関連度という指標が,日本人英語学習者の少なくとも2文1組のテキスト処理と記憶に影響を及ぼす要因であることを実証するものであり,英文読解における意味的な関連度の影響を今後の研究においても追及する意義を示すものである。教材分析研究では,英語初学者向けに作成された物語文教材を対象として,文間の意味的な関連度を指標とした分析を行った。その結果,これらの教材の文間の意味的関連度は大人の英語学習者を対象とした教材を分析した先行研究の値よりも高く,学習者の発達段階によって変化する教材の特徴の1つに,文間の意味的関連度が含まれる可能性が示唆された。今後はこの可能性を確証するために,さらに分析対象の幅を広げた検証を行っていく必要がある。