著者
川野 孝文 向井 基 中目 和彦 武藤 充 加治 建 松藤 凡
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.793-798, 2015-06-20 (Released:2015-06-20)
参考文献数
15

【目的】九州小児外科研究会施設会員に対する虫垂炎手術症例のアンケート集計結果をもとに腫瘤形成性虫垂炎に対する待機的虫垂切除の有用性について考察を加えた. 【方法】15 歳以下虫垂炎手術症例の集計をもとに開腹手術と腹腔鏡下手術の比較,腫瘤形成性虫垂炎と非腫瘤形成性虫垂炎の比較,腫瘤形成性虫垂炎の一期的虫垂炎手術症例と待機的虫垂炎手術症例の比較を行った. 【結果】開腹手術と腹腔鏡下手術を比較すると手術時間(68.0±31.8 分 vs. 94.0±42.1 分)が腹腔鏡下手術で長く,創部感染率(4.7% vs. 0.8%)が開腹手術で高値を示した.腫瘤形成性虫垂炎と非腫瘤形成性虫垂炎を比較すると手術時間(122.6±65.3 分 vs. 83.5±38.8 分),術後入院日数(10.3±7.2 日 vs. 5.7±3.1 日),術後合併症率(21.4% vs. 5.4%)が腫瘤形成性虫垂炎で高値を示した.腫瘤形成性虫垂炎に対する一期的虫垂切除症例と待機的虫垂切除症例を比較すると,術後合併症率(21.4% vs. 0%)と術後入院日数(10.3±7.2 日 vs. 4.3±1.9 日)が待機的手術症例で低値を示したが,総入院日数(11.9±8.4 日 vs. 19.0±6.5)は待機的手術症例で高値を示した.手術時間や術中合併症に有意差はなかった. 【結論】腫瘤形成性虫垂炎が治療に難渋する病態であることが改めて示された.術後合併症率の低下,術後入院日数の短縮より腫瘤形成性虫垂炎に対する待機的手術の有用性が示されたが,総入院期間の延長などの問題点も見られた.
著者
向井 基 高松 英夫 野口 啓幸 田原 博幸 加治 建 矢野 常広 坂本 浩一
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.579-584, 2003
被引用文献数
1

【目的と方法】当科で経験した小腸原発消化管重複症7例の患者背景,症状,診断・治療,重複症の形態的特徴を示し,症状と形態的特徴との関連を中心に考察を加える.【結果】年齢は1ヵ月から4歳で,性別は男児4例,女児3例であった.合併異常を認めた症例はなかった.重複腸管は全例が回腸にあり,そのうち3例が回腸末端に存在した.形態は7例とも嚢腫型であった.腸間膜との位置関係は重複腸管を腸間膜側に認めた症例が4例,反腸間膜側に認めた症例が3例であった.固有筋層を共有しなかった症例は1例のみであった.異所性胃粘膜は検索可能な6例中4例でみられた.重複症の形態的特徴と,症状との関連の検討では,重複腸管が回腸を圧迫し比較的早期より通過障害を認めた2例では重複腸管と回腸の固有筋層が共有されていたが,年長時まで通過障害をきたさなかった1例では,固有筋層の共有はみられなかった.また,乳児期早期に腸重積で発症した症例では,重複腸管が反腸間膜側にみられ,回腸内腔に突出していた.【結論】消化管重複症は発生部位により臨床像が異なるが,今回の小腸原発症例のみの検討からも重複腸管の形態の違いにより,症状とその発現時期が異なることが予想された.