著者
向井 秀仁
出版者
日本比較生理生化学会
雑誌
比較生理生化学 (ISSN:09163786)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.189-196, 2020-12-01 (Released:2020-12-24)
参考文献数
65

マイトクリプタイドは,自然免疫系において重要な役割を担っている好中球を活性化する一群の新規生理活性ペプチドです。そしてこれらマイトクリプタイドは,ミトコンドリアタンパク質の生合成ならびに分解・代謝にともなって同時に生成されるペプチド群であることも明らかとなっています。すでに最初のマイトクリプタイドの発見から20 年以上の月日が流れましたが,最近の研究で,ようやくこのマイトクリプタイドが果たす生理的ならびに病態生理学的機能の実像が,おぼろげながら見えてきました。すなわちマイトクリプタイドは,当初,想像もつかなかったほど多様な生体防御反応において重要な役割を担っている可能性が明らかになりつつあります。本稿では,我々が世界に先駆けて発見した,タンパク質構造に隠された生理活性ペプチドであるマイトクリプタイドについて,それらの発見と発見に至る経緯,それらによる好中球活性化機序,さらにはそれらが形づくる新しい生体防御機構について概説します。
著者
向井 秀仁 木曽 良明
出版者
長浜バイオ大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

タンパク質や生理活性ペプチドが生合成され、また代謝・分解される段階では、同時に多数の断片ペプチドが生成されるが長い間これらは機能を持たない代謝産物であると考えられてきた。本研究では先行研究により発見されていた好中球活性化ペプチド、マイトクリプタイド-1に加えて、新たにマイトクリプタイド-2およびマイトクリプタイド-3をブタ心臓から単離・同定し、それらがミトコンドリアタンパク質由来の新規好中球活性化ペプチドであることを明らかにするとともに、これらマイトクリプタイドの受容体およびその細胞内情報伝達機構を明らかにした。