著者
高橋 厚 別所 隆 大西 英胤 篠原 央 近藤 喬 栗原 博明 小野口 勝久 関 泰 飯尾 宏 古川 俊治 飛田 浩輔 向井 美和子
出版者
Japan Surgical Association
雑誌
日本臨床外科医学会雑誌 (ISSN:03869776)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.592-597, 1991-03-25 (Released:2009-03-31)
参考文献数
36

最近われわれは急性の経過をとった腸間膜脂肪織炎の1例を経験した.症例は23歳女性で腹痛と発熱を主訴に来院した.腹部CTにて腸間膜の炎症性疾患が疑われたが,症状増悪するために開腹手術が行われた.開腹所見は小腸間膜の炎症性肥厚を認め肉眼的に腸間膜脂肪織炎と診断した.腸間膜の生検より組織学的にも腸間膜脂肪織炎と診断された.この症例は抗生剤と非ステロイド性消炎鎮痛剤投与のみで症状軽快した.腸間膜脂肪織炎は腸間膜の非特異性炎症性疾患であり多くは慢性に経過する.検索し得た本邦報告例35例を集計し文献的考察を加え報告する.
著者
前島 潔 黒田 重臣 大谷 良樹 篠崎 有三 向井 美和子
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.85-88, 1984-01-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
15

従来より急性膵炎の合併症の一つとして急性腎不全がいわれているが, その報告例は本邦では過去10年間に7例と少ない. 最近著者らは慢性膵炎の急性増悪の経過中に急性腎不全を併発し, 死の転帰をとつた症例を経験した. 症例は高度の飲酒歴をもつ69才の男性で, 近医で慢性膵炎の診断で加療を受けていたが, 昭和57年4月飲酒後に心窩部痛出現し, 当院に紹介され入院となつた. 入院時著明な血清及び尿アミラーゼの高値を認め, 慢性膵炎の急性増悪と診断し加療するも, 経過中シヨツクを契機に急性腎不全が急速進行し, 血液透析療法を施行したが効なく死亡した. 剖検では膵は出血性壊死の所見を呈し, 腹腔内に約1000ccの出血を認めた. 又腎は急性尿細管壊死の所見を認めた. 本症例はシヨツクを契機に腎不全が急速増悪しているが, シヨツクに無関係に合併した報告例もあり, その成因, 治療法, 予後に関し若干の文献的考察を加えて報告した.