著者
松元 文子 向山 りつ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.115-120, 1956-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1

1) 鶏卵は、産卵日から日数経過にしたがつて、卵白の濃厚部分は水様化す。市販卵の卵白の水様、濃厚の割合は、約半々のものが多いことから産卵後の経過日数を推定することが出来る。2) 電力撹拌と手動撹拌では、水様卵白と濃厚卵白の泡だちにおいて逆の結果をみるが、これは撹拌程度のちがいとみてよく、同一撹拌程度では新鮮卵より古卵の方が泡だちはよい。このことから普通卵白を泡だてる際に、先ず充分に濃厚卵白を均一にする為、即ち機械的に水様化をおこさせるための予備的撹拌(切る操作)を行つた後に、泡だてる方がたやすく泡を得ることが出來る。3) 撹拌時間の増加に従い、或る範囲迄はその卵白泡の比重は小となるが、卵白泡の成績は必ずしもよいとは云えない。それ故に、泡の状態(均一度、緻密度・艶など)を主にして最もよい攪拌時間を捉える必要がある.それは卵の新古, 温度, 撹拌器, 撹拌方法などによつて異るものである。4) 凝固しない程度において、卵白温度は高いほど泡だちはよいが、安定度は気温に関係すること大で、気温と大差をもたせると安定度は低下し、起泡力と安定度及び泡の状態からみて、卵白温度は30℃前後が適当である。メレンゲにおいては、冷却した泡の方が、起泡は困難であるが卵白泡そのものの光沢が良い。5) 電力撹拌器使用の場合、起泡を容易にするための添加物は普通に考えられる食品の中にはないようである。