著者
松元 文子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.68-72, 1970-06-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
18
被引用文献数
4
著者
関 千恵子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.29-34, 1969-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1

Experiment was carried on to know the proper method of sautéing rice and the amount of water used for cooking.7% of buttter was used to saute the rice before cooking. Under the proper condition, the tests were done for sauteing the rice 8, 12 and 16 minutes respectively, and the amount of water used for cooking was 1.11 to 1.40 times by weight.Following results were obtained : 1) The viscoelasticity shown by the Farinograph of cooked rice was higher for the longer period of sautéing, 2) The velocity of dehydration of cooked rice was extremely different on upper and lower parts of the pots for those which was sauteed 12 to 16 minutes, 3) By taste testing, most favorable results was the rice sautéed for 8 minutes, and the amount of water used for cooking was 1.3 times by weight.
著者
比留間 トシ 広島 秀子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.159-163, 1971-06-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

1. 衣に使用する水の温度が30℃では、たん白の水和力が強く、衣が油に投入される前に粘度が高くなり種に多く付着し、水分と油の交代が悪くなるため、からりと揚がらない。逆に水温が低すぎても交代は悪く成績がよくない。それは衣の浮き上がりがおそいことから察せられるように、衣が油に投入されてから脱水し始める前に小麦粉との水和が進むためであろうと考えられる。2. 衣に使用する小麦粉はたん白含量が少ない方が揚げ衣の成績がよい.特に低たん白粉の場合は衣の水分と油の交代に水温の影響が少ない。3. 卵は衣の膨脹を助け軽い口ざわりの衣とする。卵水を用いた生衣の粘度が他に比べて高いのは、卵水自体の粘度が水に比べて高いためで、それにもかかわらず加熱中の水と油の交代が水だけの場合と各温度ごとに比べると、概ねよいのは、衣の膨脹によるためと考えられる。4. 各種衣の粉材料の離水量から、揚げ操作中の水分脂質の交代の程度を推察することができる。5.天ぷらの生衣の実用時間内の粘度を測定することは、ほとんど不可能に思われる.それはこの短時間内に天ぷら業者の特技ともいうべきわざをも含むからである。衣は少量ずつ作るという理由もここにある。
著者
村田 安代 斉田 由美子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.412-417, 1976-09-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
7

卵液の熱凝固温度に対する食塩・砂糖等の影響を検討した. また90℃30分湯せん加熱法および急速蒸し加熱法により基準配合ゲルを調製し, 加熱法の相違がゲルの性状に及ぼす影響を比較した. 急速蒸し加熱法により, 卵液予備加熱や希釈剤として用いられる牛乳濃度の相違が及ぼす影響について実験した.1) 食塩入り30%卵液を5種の加熱速度でゲル化させたところ, 加熱速度が小さいほどゲル化の進行が遅く, それに至る時間が長い傾向がみられた.2) 食塩・砂糖濃度が増すほど, この観察条件下での凝固温度は高くなる傾向がみられた.また, 卵濃度が増すほど逆に低くなる傾向がみられた.3) 90℃30分湯せん加熱法と急速蒸し加熱法を比較すると, 急速蒸し加熱法の方がゲルがやわらかく, 弱るい黄色で, すだちは少なく, 外観のよいゲルが得られる傾向がみられ, 離漿も少ない.4) 急速蒸し加熱法においては, 卵液の予備加熱の方が, 加熱時間の延長より, 外観のよいゲルが得られる.5) 牛乳入りゲルは食塩入りゲルに比べ, 離漿が少なく安定性が高いが, すだちは多い傾向がみられた.
著者
三田 コト 西内 久 松元 文子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
no.16, pp.79-84, 1975-03-31

Experiment was carried out to know the relations between the qualities and quantities of materials in making hamburg-steak and its finished products. Various kinds of samples were made, each weighing 100 grams, varying the quantities of minced beef, onions, eggs and bread crumbs. Four different kinds of beef were used; one of which was bought at the city market, and the other three were the different percentage of fat contents, i.e. the one is no fat, and the others are 20 percent fat, and 40 percent fat respectively. The National Electric Hot Plate (800 W) were used for roasting. The results were as follows : 1. The quantities of onions, eggs, bread crumbs, and fat contents in beef have some relations to the weight of finished products. 2. The quantities of eggs, bread crumbs and collagen in beef are important factors in determining the sizes of finished products. 3. The taste is generally influenced by the quality of beef and the fat used in mixing.
著者
三田 コト 西内 久 松元 文子
出版者
日本家庭科教育学会
雑誌
日本家庭科教育学会誌 (ISSN:03862666)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.79-84, 1975-03-31 (Released:2017-11-29)

Experiment was carried out to know the relations between the qualities and quantities of materials in making hamburg-steak and its finished products. Various kinds of samples were made, each weighing 100 grams, varying the quantities of minced beef, onions, eggs and bread crumbs. Four different kinds of beef were used; one of which was bought at the city market, and the other three were the different percentage of fat contents, i.e. the one is no fat, and the others are 20 percent fat, and 40 percent fat respectively. The National Electric Hot Plate (800 W) were used for roasting. The results were as follows : 1. The quantities of onions, eggs, bread crumbs, and fat contents in beef have some relations to the weight of finished products. 2. The quantities of eggs, bread crumbs and collagen in beef are important factors in determining the sizes of finished products. 3. The taste is generally influenced by the quality of beef and the fat used in mixing.
著者
松元 文子 向山 りつ子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.115-120, 1956-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1

1) 鶏卵は、産卵日から日数経過にしたがつて、卵白の濃厚部分は水様化す。市販卵の卵白の水様、濃厚の割合は、約半々のものが多いことから産卵後の経過日数を推定することが出来る。2) 電力撹拌と手動撹拌では、水様卵白と濃厚卵白の泡だちにおいて逆の結果をみるが、これは撹拌程度のちがいとみてよく、同一撹拌程度では新鮮卵より古卵の方が泡だちはよい。このことから普通卵白を泡だてる際に、先ず充分に濃厚卵白を均一にする為、即ち機械的に水様化をおこさせるための予備的撹拌(切る操作)を行つた後に、泡だてる方がたやすく泡を得ることが出來る。3) 撹拌時間の増加に従い、或る範囲迄はその卵白泡の比重は小となるが、卵白泡の成績は必ずしもよいとは云えない。それ故に、泡の状態(均一度、緻密度・艶など)を主にして最もよい攪拌時間を捉える必要がある.それは卵の新古, 温度, 撹拌器, 撹拌方法などによつて異るものである。4) 凝固しない程度において、卵白温度は高いほど泡だちはよいが、安定度は気温に関係すること大で、気温と大差をもたせると安定度は低下し、起泡力と安定度及び泡の状態からみて、卵白温度は30℃前後が適当である。メレンゲにおいては、冷却した泡の方が、起泡は困難であるが卵白泡そのものの光沢が良い。5) 電力撹拌器使用の場合、起泡を容易にするための添加物は普通に考えられる食品の中にはないようである。
著者
平野 雅子 谷口 富貴子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.24-28, 1971-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

実験結果を要約すると1) 生クリームの起泡性はその外観、泡立て時間、オーバーラン、粘稠度、乳清分離量などにより評価できる。2) 生クリームの温度履歴は起泡性に大きく関与する。したがって、貯蔵および起泡は低温 (10℃以下) で行なわなければならない。3) 攪伴速度は速いほど泡立てに要する時間は短縮されるが、起泡性は落ちる。反対に速度を下げすぎてもオーバーランは低くなる。4) 一般に砂糖の添加はオーバーランを低下させる。砂糖は生クリームをある程度起泡してから添加する方がよい。5) 粉末生クリームは便利ではあるが、生クリームに比べ、起泡性や嗜好性は劣っている。
著者
中谷 圭子 松元 文子 桜井 芳人
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.201-206, 1974-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
6

前報につづいて醤油が加熱調理食品をかたくする原因を追求するため, 大豆を用いて, 醤油中に含まれる化学成分の影響を調べた.その結果を要約すると, 1) 醤油に含まれる有機酸16種はいずれも, 加熱処理大豆をかたくし, その程度は酸の種類によってことなる.また, アミノ酸の中では酸性アミノ酸のグルタミン酸とアスパラギン酸が大豆をかたくした.一価のイオンの食塩と塩化カリウムは水処理のものよりやわらかく, カルシウム, マグネシウム, 三価の鉄の各塩化物溶液は逆の結果となった.2) 上記のアミノ酸および有機酸0.1モル濃度を含む5g/dl食塩濃度の醤油水で大豆を加熱処理すると, 同醤油水のみで処理した大豆のかたさの約1.5~2倍のかたさを示した.また, 食塩濃度5g/dlの醤油液あるいは同食塩濃度の緩衝液をベースにして, 乳酸, コハク酸および酢酸を溶かした各溶液で加熱処理した大豆は, 前三者の水溶液の場合より, やわらかく, 酸の添加量による影響は小さかった.
著者
中谷 圭子 松元 文子 桜井 芳人
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.195-200, 1974-06-20 (Released:2010-03-10)
参考文献数
14

醤油が加熱調理品をかたくする現象を官能検査と物理的測定 (カードメーター) によって確かめ, その原因を追求した.その結果はつぎのように要約される.1) 醤油水と食塩水とで加熱処理した大豆, 大根およびじゃがいもはいずれも食塩濃度18g/dlまでの範囲で醤油水処理の方が, 食塩水処理のものよりかたくなった.2) 醤油中の主成分 (食塩, アミノ酸および有機酸) の組合わせによって調製した溶液で大豆を加熱処理すると, そのかたさは (アミノ酸+有機酸) 液>有機酸液>アミノ酸液> (食塩+アミノ酸+有機酸) 液>水> (食塩+有機酸) 液>醤油水> (食塩+アミノ酸) 液>食塩水であった。これにより, 加熱調理の際食塩はやわらかくする性質を, また有機酸およびアミノ酸はかたくする性質があり, 有機酸はアミノ酸より大きな影響を与えると考えられる.
著者
松原 朝子 松元 文子 桜井 芳人
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.368-375, 1972

1. 小麦粉をデンプン部, グルテン部および水溶性部に3区分し, 各区分の単一あるいは混合物を, オリーブ油を揚げ油として, てんぷらの衣を調製し, その香気を官能検査によって比較した。その結果 (デンプン+グルテン+水溶性) 部を衣とした場合, 最もてんぷら様の好ましい香気が形成された。<BR>2. てんぷら様香気形成には (グルテン+水溶性) 部が重要な要因となっている。<BR>3. 水溶性部として, アミノ酸を検討した結果, レアスパラギン酸およびレグルタミン酸など, 酸性アミノ酸がてんぷら様香気形成に重要である。<BR>4. 水溶性部として, (酸性アミノ酸+リジン) を添加して調製した衣が, 現段階までのところでは, 最もてんぷら様の好ましい香気を生じた。<BR>5. 揚げ油として, トリオレインを用いた場合の衣の香気は, てんぷら様香気とは著しく異なっていた。<BR>6. トリオレインにメチルリルイトを添加して揚げ油とした場合には, オリーブ油を用いた場合と嗜好的有意差のない好ましい香気のてんぷらの衣が形成された。<BR>7. トリオレインに冷ケン化物あるいはフィトステリンを添加した場合には, 6.に述べたような好ましい香気は形成されなかった。
著者
島田 淳子 渡部 繁子 新垣 公子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.24, no.8, pp.704-709, 1973-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4

The correlations of the ratio between materials and cooking temperature for making the “roux” which influences the qualities were examined by their viscosity, color, sedimentation volume, turbidity and taste.As the results, (1) when the taste was evaluated by trained panels, the roux cooked to the temperature up to 130°C was more palatable than that of the temperature 100°C. The roux turned to brown and arouse the roasted flavor by further heating.(2) The cooking temperature of roux showed inverse relations of viscosity, and of the sedimentation volume of pastes which was prepared from this roux, higher the temperature of the roux, lower the viscosity, and smaller in the sedimentation volume. On the other hand, the turbidity of filtrate of these pastes showed the increasing tendency for higher cooking temperature.(3) The changes of viscosity by the alpha amylase digestion was found to be smaller at its high temperature.(4) Acid and iodine values, and the viscosity of butter fat which was separated from roux were tested, and found no remarkable changes in the difference of cooking temperature.
著者
関千 恵子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.7, pp.494-498, 1969-12-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
4
被引用文献数
1

The preceding report (Part 1) was made on sautéed uncooked rice. The present paper gives a report on the experiments of sautéing cooked rice. The result was compared with that of the preceding report. The following facts were observed.(1) The lower the temperature of cooked rice, the easier sautéing at the beginning, but cooked rice of lower temperature requires longer time to reach the serving temperature, and sautéing becomes difficult as rice increases stickiness with time.(2) When the cooked rice is warm enough, it reaches more quickly to the serving temperature, but sautéing is not as easy as with colder cooked rice. If the amount of butter is increased, this difficulty can be avoided.(3) The appropriate amount of butter seems to be from 10 to 20% of the weight of rice.(4) The differences of property between sautéed cooked rice and cooked rice fixed with sauteed uncooked rice were shown clearly in the taste testing, rate of dehydration, Farinogram, amount of fatty substance absorbed into the rice surface, the microscopic observation, and the diffraction pattern of X-ray.
著者
松元 文子 林 恵美子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.68-70, 1958-04-05 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8
被引用文献数
1

天ぷらの味のうち、特に衣のおいしさについて実験した結果、次のことが明らかになつた。1. 小麦粉は上質薄力粉を用い、副材料として卵を用いれば、小麦粉だけを用いた衣よりも水分少く、口ざわりがよい。重曹を用いると衣の水分が一層少く仕上り、且つ衣の表面の吸湿は極めておそいので、これらの点に於いては卵に優るが口触りが硬すぎる。卵と重曹を併用すれば両者の長所を採り入れることが出来るであろう。2. 天ぷらの衣に於ける水分と油の含有量は副材料の種類によつて互に消長するもので水分多ければ油少く、水分少ければ油が多く衣の口ざわり(歯もろさ)は、水分と反比例的である。従つて、おいしい天ぷらの条件としての“油じみていない”ということは、必ずしも吸油量が少いという事ではなく、付着油即ち油切れの問題であろう。(この点については次報で述べたい。)3. 揚げたての天ぷらがおいしい理由は、喫食時の温度にあるのはいうまでもないが、衣に卵を用いた場合は、表面の水分の増加以前を尊重するためと考えられる。
著者
寺元 芳子 塩田 育子 松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.384-388, 1966-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
5

1. 完全糊化した澱粉糊は半糊化のものにくらべ、粘弾性、ゲル化速度が大で調理操作可能範囲が狭い。したがって、くずざくらは半糊化の澱粉糊で、あんを包み蒸して完全糊化させる方がよい。2. 半糊化にする方法は全体を半糊化にするよりも一部を完全糊化させ、残りを懸濁液のままで混ぜ合わせる方が調製しやすい。ただし馬鈴薯澱粉糊は流れやすいため、全体を半糊化にする方がよい。3. 単独澱粉では次のような欠点が認められる。くず澱粉…手に付着しやすい。馬鈴薯澱粉…流れやすく成形しにくい。玉蜀黍澱粉…くず澱粉に類似している。4. 単独澱粉の欠点を補うために澱粉を混合して用いることは効果がある。混合割合は、くずと馬鈴薯澱粉、玉蜀黍と馬鈴薯澱粉とも3:1がくずざくらに対しては実用的配合と考えられる。

1 0 0 0 OA 食べ物の味

著者
松本 仲子 松元 文子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
調理科学 (ISSN:09105360)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.97-101, 1977-05-20 (Released:2013-04-26)
被引用文献数
8
著者
松元 文子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.1-10, 1969-02-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
18
著者
松元 文子 松本 ヱミ子 高野 敬子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
家政学雑誌 (ISSN:04499069)
巻号頁・発行日
vol.11, no.5, pp.348-352, 1960-11-15 (Released:2010-03-09)
参考文献数
8

1, 手ごねドウとミキシングドウを、ファリノグラム及びエキステンソグラムで比較すると、本質的な根違は別として、電力ごねの力は大きく、手で“よくこねた”場合(200回)においても、その力ははるかに小さく、また、手ごねの場合は、一応均質化されたかに見えるドウについても相当に違いのあることがわかった。ミキサー使用の場合でも、ファリノグラフにおいては、その回転速度によって、著しく製品の質に相違をもたらすといわれているから、電力ごねと手ごねの間の混捏操作に著しい達いのあることを思えば、その相違が更に大きくなることも止むを得ないものと考えられる。1図における抵抗値の変化はミキシング間のドウの性質を示すものであることはいうまでもないから、手ごねにおいては、その出発点(ミキシングタイム0点)における抵抗値が手ごね結果を表わすものとしての意味が大きい。即ち、手ごね0のドウは、対照の30秒ぐらいのドウに相応じ、従って、その後のミキシングによって大いに上昇を示すこと、対照に準ずる。手ごね150、200回のドウ(両者の出発点は一致している)は、その出発点がすでに対照の最高抵抗値に近く、従って、その後のミキシングによる上昇は殆んど示さない。その他のこね回数をみると、大体、20、40は出発点がこね回数0に近く、60、100は200回に近いところから、こね回数60回くらいで一応ドウの均質性を得られるもののように考えられる。手で “ざっとこねる” とは、手ごね60回以前の、まだ均質化されないドウの場合であろう。こね回数と0点における抵抗値の順位に狂いがあるのは、一定基準を保ったとはいえ、手ごねの操作上の違いと本機の再現性の弱さによるものと思われる。又、手ごねに対応するミキシング時間は、ファリノグラムとエキステンソグラムの問では、必ずしも一致しない。これは両者が何れもドウの性格を表わすものであるとはいえ、前者は混捏中のドウの抵抗値を示すものであり、後者はドウの伸張抵抗(いわゆる腰)と伸張度(いわゆる足)を示すもので、それぞれドウのちがう面を表わすものであるからであろう。2.ドウの“ねかし”を軟化による扱い易さの点から、エキステンソグラムでみると、一応まとまる程度にこねたドウでもねかしにより、充分軟化することができ、“こね”と“ねかし”の本質的な相違はあるとしても、ねかしはこね回数を節約することができ、30分までが最も効果的であった。しかし、ねかしにより、一旦軟化したドウは再びこねることで硬化し扱いにくくなるから、ねかし後の成形には注意を要する。実用の場合、ねかし時間の長いもの、成形後に放置するものなどのねかしの効果はドウの本質的な質向上や、製品の組織への影響をねらったものと思われる。