著者
松本 勝 深井 智子 安井 利一 向笠 和夫 金子 憲司
出版者
一般社団法人 口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.208-215, 2004-07-30 (Released:2017-12-23)
参考文献数
15

これまでにデキストラナーゼ配合歯磨剤の歯垢抑制効果についての報告はいくつかあるが,その歯磨剤の形状はペースト状あるいは液状であった.本研究は,デキストラナーゼを配合した洗口剤の歯垢付着抑制効果を検討する目的で,健康な成人82名を対象として二重盲検法によるGood clinical practice (GCP)に準拠した臨床研究を実施した.試験洗口剤は,17.5単位/gデキストラナーゼを配合し,対照洗口剤としては,試験洗口剤から有効成分を除去した洗口剤を用いた.歯垢抑制効果については,歯垢の付着状況および,菌数測定試験により評価した.初診時のPlaque score において最大値が4を有する者で,1週間洗口後の診査時に,試験洗口剤使用群において対照群と比較して有意に低いPlaque score 値を示した.試験洗口剤は,歯垢付着量が多い被験者においてより有効であると考えられた.各歯面におけるPlaque score の平均では,洗口開始後3日目においては,各歯面でのPlaque score の差はほとんど認められなかった.しかし,5日目以降のPlaque score は,すべての対象歯面において試験洗口剤が低い値を示しており,1週目においては対照群との差が広がる傾向が認められた.菌数測定試験においても洗口開始後1週目で細菌数の少ない被験者が増加する傾向を認めた.デキストラナーゼを配合した洗口剤の歯垢抑制効果は,口腔清掃状態の悪い者においてより有効性が高く,また,その効果は使用日数とともに高まることが示唆された.