著者
吹上 大樹 河邉 隆寛 西田 眞也
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2017-CVIM-206, no.8, pp.1-6, 2017-03-02

プロジェクションマッピングは実物体の見た目を編集する光投影技術として注目されており,これまで対象のテクスチャや色味,ダイナミックレンジ,質感などの編集に利用されてきた.こうしたプロジェクションマッピングの新たな応用例として,著者らは対象に動きの情報を付加する手法 (変幻灯) を提案した.変幻灯では,輝度信号の視覚運動パターンのみを投影するため,投影対象物が本来もつ見た目やテクスチャの質感には一切影響せずに,非常に現実感の高い動き印象を知覚させることが可能となる.本研究報告では,変幻灯の基本的な仕組みを解説すると共に,変幻灯の応用例として,インタラクティブに実物体に見かけの動きを付与し,編集することができるアプリケーションを紹介する.
著者
吹上 大樹 大石 岳史 池内 克史
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.1, pp.1-8, 2012-11-26

複合現実感 (MR) は,実世界に仮想物体 (CG) を重畳して表示することにより,高い臨場感を得ることができる技術である.しかしながら,任意の屋外環境において,その風景に CG を重ねると,しばしば CG と現実の物体との間で遮蔽関係に矛盾が生じるという問題がある.例えば,本来は前景であるはずの樹木が,重畳した CG に遮蔽されるというような状況は屋外では頻繁に生じ, MR の臨場感を著しく損なってしまう.この問題を解決するには,現実のシーンから前景となる部分の輪郭を正確に切り出す処理が必要となる.しかし,樹木や茂み等の複雑な形状を実時間で切り抜くことは計算量の点から実現が難しいというのが実状である.そこで本研究では、正確な前景情報を必要としない,新たな遮蔽矛盾解消手法を提案する.具体的には、心理物理実験によって測定したヒトの透明視知覚特性に基づいて, CG と現実風景とのブレンディングを行い,これによって CG が前景領域の奥に透けて見えるような描画を可能にした.Mixed Reality (MR) is a technique that enables the merging of the real and virtual worlds by rendering virtual objects on a real scene in real time. One of the challenges in mixed reality (MR) applications is handling contradictory occlusions between real and virtual objects. The previous studies have tried to solve the occlusion problem by extracting the foreground region from the real image. However, real-time occlusion handling is still difficult since it takes too much computational cost to precisely segment foreground regions in a complex scene. In this study, therefore, we proposed an alternative solution to the occlusion problem that does not require precise foreground-background segmentation. In our method, a virtual object is blended with a real scene so that the virtual object can be perceived as being behind the foreground region. For this purpose, we first investigated characteristics of human transparency perception in a psychophysical experiment. Then we made a blending algorithm applicable to real scenes based on the results of the experiment.