著者
山田 祐樹 河邉 隆寛 井隼 経子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.55-55, 2010

非人間的対象の人間らしさが増大すると,ある時点でその対象への評価が急激に低下するといわれる (不気味の谷現象).本研究は,この評価の低下が,対象を2つのカテゴリに分類する困難さと関係しているかを検討した.実験1では,実際の人物と漫画の人物の画像を0%から100%までの10%ずつのモーフィング率で合成した11枚の画像を用いた.観察者は各画像に対しカテゴリ判断 (実際-漫画) を求められ,その潜時をカテゴリ化困難度の指標とした.また,各画像の好意度について-3 (嫌い) から3 (好き) の7段階で評定させた.結果として,モーフィング率とともに潜時と好意度評定値が変化し,最も潜時の長かった画像と最も評価の低かった画像が一致した.実験2では,犬の画像 (実際,ぬいぐるみ,及び漫画) を用いても同様の結果を得た.これらの結果は,カテゴリ化困難な画像における処理流暢性の低さが評価の低下を引き起こすことを示唆する.
著者
鍵谷 龍樹 白川 由貴 土斐崎 龍一 渡邊 淳司 丸谷 和史 河邉 隆寛 坂本 真樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

本研究では,粘性情報を持つ動画・静止画がどのようなオノマトペの音韻によって表されるかを調べ,粘性に関連する運動情報、形態情報に特徴的な音韻を特定した.その結果を利用することで粘性を表す映像を対象とし,「ドロドロした動画を欲しい」という直観的な要望を叶える粘性映像推奨システムを実現可能である.
著者
吹上 大樹 河邉 隆寛 西田 眞也
雑誌
研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:21888701)
巻号頁・発行日
vol.2017-CVIM-206, no.8, pp.1-6, 2017-03-02

プロジェクションマッピングは実物体の見た目を編集する光投影技術として注目されており,これまで対象のテクスチャや色味,ダイナミックレンジ,質感などの編集に利用されてきた.こうしたプロジェクションマッピングの新たな応用例として,著者らは対象に動きの情報を付加する手法 (変幻灯) を提案した.変幻灯では,輝度信号の視覚運動パターンのみを投影するため,投影対象物が本来もつ見た目やテクスチャの質感には一切影響せずに,非常に現実感の高い動き印象を知覚させることが可能となる.本研究報告では,変幻灯の基本的な仕組みを解説すると共に,変幻灯の応用例として,インタラクティブに実物体に見かけの動きを付与し,編集することができるアプリケーションを紹介する.
著者
錢 昆 河邉 隆寛 山田 祐樹 三浦 佳世
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.128, 2010

チルトシフト写真の被写体がミニチュアのように見える現象は,一般にミニチュア効果と呼ばれている。チルトシフト写真を観察すると,どのような視覚的印象が生じるのか,また,どのような視覚要因が印象の喚起に関わっているかに関し,両者の関係を網羅的に検討した研究はまだない。本研究はチルトシフト写真の引き起こす視覚的印象を調べた。被験者に本城(2006)のチルトシフト写真10枚の物理的・心理的特性について5段階で評定させ,因子分析を行った結果,「ミニチュア効果」,「評価性」,「密度」,「色彩」,「ぼかし」と「撮影位置」の6つの因子を抽出した。また,ミニチュア効果の高い写真と低い写真の間に,各因子の平均評定値に差があるかを検討した所、チルトシフト写真の被写体の密度,色彩,ぼかしと撮影距離に関する視覚的印象に有意差が見られた。これらの視覚要因が写真のミニチュア効果の生起に関与することを示唆するものと言えるだろう。
著者
河邉 隆寛 三浦 佳世
出版者
日本基礎心理学会
雑誌
基礎心理学研究 (ISSN:02877651)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.211-214, 2006-03-31 (Released:2016-11-25)

Artists can get space and time into a static pictorial scene. Although the pictorial scene is in many parts inconsistent with the physical properties of real scene, we doubtlessly feel the pictorial scene as having a reality. On the other hand, interestingly, we know the pictorial scene is not real. How can we overcome this coexistence of incompatible realities, physical and psychological realities? Here we review the studies investigating the memory displacement of objects with the motion lines that are one of techniques to depict the motion on a still image, and discuss that the efficacy of visual stimulation by the pictorial technique determines the dominance between physical and psychological realities: when the latter is dominated over the former, we get caught up in the picture.
著者
山田 祐樹 河邉 隆寛
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第6回大会
巻号頁・発行日
pp.93, 2008 (Released:2008-11-10)

我々の時間の感覚は我々がそのとき抱いている情動によって変化する.本研究は,無意識的に呈示された情動刺激が,それとは非関連な刺激に対する時間知覚に影響するかどうかを調べた.被験者は実体鏡を通して画面を観察し,片方の目には情動刺激 (快,不快および中性画像) を,もう片方の目には同じ位置に一定間隔で連続して変化するモンドリアン刺激を呈示した.連続的なモンドリアン刺激の変化は感情刺激を意識から取り除いた.また,モンドリアン刺激の周辺には白色の枠線が2700 msec呈示された.被験者はこの枠線の呈示時間を,後に呈示される同一の刺激の呈示時間を調整することで再生することを求められた.その結果,再生された時間は,不快刺激が呈示された場合の方が快刺激の場合よりも有意に長くなった.この結果は,無意識的な情動刺激が時間知覚に影響することを示唆する.
著者
鍵谷 龍樹 白川 由貴 土斐崎 龍一 渡邊 淳司 丸谷 和史 河邉 隆寛 坂本 真樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.237-245, 2015-01-06 (Released:2015-01-06)
参考文献数
25
被引用文献数
1

We feel some liquids such as honey or oil more viscous than others like water. Viscosity perception is frequently expressed by onomatopoeia, a set of words that are often used to express sensory experiences in Japanese. For example, we would say honey is “toro-toro” or oil is “doro-doro”. In this paper we investigated the associations between phonemes of Japanese onomatopoeia for expressing viscosity and subjective evaluations of viscosity. Specifically, we performed psychological experiments where participants watched some static images and dynamic images. Participants were asked to express the visual sensations by onomatopoeia and rate the degree to which they felt the objects viscous. This experiment was aimed at specifying the systematic association between phonemes of Japanese onomatopoeic words and viscous evaluations. Our results showed the existence of some associations between the phonemes of the words for expressing the sensation and the evaluations of viscosity and showed the possibility to construct a system to recommend viscosity animations by onomatopoeia. The system proposed in this paper recommends viscosity animations consistent with onomatopoetic expressions based on Japanese sound symbolism. Our system comprises a user interface module, an onomatopoeia parsing module, and a database. Our system can evaluate the subtle difference in viscosity feelings expressed by onomatopoeic words which are different in phonemes.