著者
吹譯 友秀 榎本 啓吾 吉野 宏毅 内本 勝也 西村 真紀 穐山 浩
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.141-150, 2022-08-25 (Released:2022-08-30)
参考文献数
19

2014年度から2021年度に買上げした702製品の健康食品について医薬品混入の検査を実施した結果,28製品から14医薬品成分とインヨウカク,センナ葉軸およびセンナ小葉が検出された.検査はフォトダイオードアレイ検出器付き超高速液体クロマトグラフィーを用いたスクリーニング分析を行った後,医薬品成分の含有が疑われる製品については,超高速液体クロマトグラフ-四重極-キングドントラップ質量分析計で分析を行い,医薬品成分の含有を確認した.また,センナ葉軸やセンナ小葉の確認は実体顕微鏡や走査型電子顕微鏡を用いて行った.健康食品に含有されていた医薬品成分には,1日の薬用量を超えている製品もあった.健康被害発生を防止するためには,医薬品成分が含有された製品の流通を防止することが重要であることから,今後も医薬品成分が含有された製品の流通を監視するための検体買上げ体制および検査体制を継続していく必要がある.
著者
吹譯 友秀 山﨑 翠 髙橋 和長 土井 崇広 川口 正美 榎本 啓吾 吉野 宏毅 内本 勝也 西村 真紀
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.65-72, 2021-04-25 (Released:2021-04-22)
参考文献数
7
被引用文献数
1

健康食品に含まれていたタダラフィルおよびタダラフィル構造類似物質であるノルタダラフィルおよびホモタダラフィルの立体配置を確認した.製品はインターネットで購入し,タダラフィルを検出したはちみつ加工品1製品および錠剤1製品ならびにノルタダラフィルおよびホモタダラフィルを検出した飴1製品を使用し,各製品から各成分を単離精製した後,円二色性(CD)分散計を用いてCDを測定した.その結果,各製品より単離精製した成分のCDスペクトルは6R,12aR体標準品のCDスペクトルと一致したことから,製品に含まれていた成分は6R,12aR体であると確認された.タダラフィルは6R,12aR体が立体異性体の中で最もホスホジエステラーゼ5阻害作用が強いという報告があることから,ノルタダラフィルおよびホモタダラフィルも作用の強さを期待して,6R,12aR体を製品に使用した可能性がある.
著者
吹譯 友秀 長谷川 貴志 高橋 和長 西條 雅明 浜名 正徳
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.94-102, 2014-04-25 (Released:2014-07-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1 3

超高速液体クロマトグラフィー(UPLC)による健康食品中のスタチン12成分の一斉分析法を構築した.抽出は抽出溶媒として50%(v/v)メタノールを用い,超音波抽出法で行った.精製はOasis MAXミニカラムを使用し,溶出溶媒としてメタノールおよび0.2%(v/v)リン酸含有メタノールを用いた.UPLC分析のカラムはACQUITY UPLC BEH C18 を用い,0.2%(v/v)リン酸水溶液 – アセトニトリルのグラジエントで分析を行った.添加回収試験の結果,回収率は89.2~100.9%,併行精度と室内再現性は7%以下であり良好な結果を示した.本法を市販の健康食品24製品に適用した結果,ロバスタチンが最大4.85 mg/ 包,ロバスタチン酸が最大1.28 mg/ カプセル検出された.他の成分は検出されなかった.1製品について,製品表示どおりに摂取するとロバスタチンの1日摂取量が6.74 mgとなった.当該製品はロバスタチンの1日最小薬用量10 mgの1/2を超えて摂取することになることから,当該製品を摂取することによる健康への影響が懸念される.