著者
田中 春仁 中原 康治 味元 宏道 富田 良照 山岸 亜紀 澤 祥幸
出版者
日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 : 日本気管支研究会雑誌 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.159-164, 1991-03-25

62歳, 男性。1989年9月から出現した湿性咳嗽で近医を受診した。胸部X線上は閉塞性肺炎像を示していた。気管支鏡で, 肺癌が疑われ転院した。再度気管支鏡が施行され, 中間幹が黄白色で光沢をもつ多結節性隆起型腫瘤で狭窄していた。腫瘤に可動性はなく, 表面には血管怒張, 壊死などの変化は認めなかった。また, 周辺粘膜に軽度の発赤を伴っていたが浮腫は強くなく, 縦走襞には所見はなかった。腫瘤が硬く生検は困難であったが, 組織学的には扁平上皮化生で, 細胞診はclass IIであった。以上より肺癌は否定的であった。1990年1月, 当院で気管支鏡下Nd-YAGレーザー治療を施行, ピスタチオの殻を摘出した。腫瘤は, 扁平上皮化生を伴う異物性炎症性ポリープと考えられた。
著者
味元 宏道 冨田 良照 澤 祥幸 吉田 勉 大野 康 豊田 美紀
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.223-229, 1997-04-20
被引用文献数
4

症例は39歳女性で, 平成4年11月9日, 原発性肺癌(pT2N1M0 : Stage II)で左上葉切除術とリンパ節郭清術を施行した.外来で経過観察していたが, 平成6年5月頃左S^6に嚢胞性陰影が出現した.ツベルクリン反応が強陽性であったため, 肺結核と診断し, 抗結核剤の投与を行った.しかし嚢胞性陰影が拡大し, 嚢胞壁の肥厚がみられ, 喀痰細胞診でClass Vであったことから, 転移性肺癌を疑い, 平成7年9月6日結果的に肺全摘術を施行した.病理標本所見は乳頭状腺癌であった.臨床経過及び胸部X線とCTなどの諸検査の結果より, 本症例は腫瘍そのものの性質よりは交通気管支のvalvular obstructionにcheck valve機構が加わって孤立性薄壁空洞が形成されたものと推測された.