著者
平山 文俊 小田切 優樹 上釜 兼人 和久田 徹 稲葉 光治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.643-648, 1982-10-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2 5

水溶液中ならびに固体状態における16, 16-Dimethyl-trans-Δ2-prostaglandin E1 methylester (ONO-802) とα-, β-, γ-シクロデキストリン (α-, β-, γ-CyD) との複合体形成を溶解度法並びに粉末X線回折法により検討した. 複合体の安定度定数の大きさはβ-CyD複合体>α-CyD複合体>γ-CyD複合体の順であった. 溶解度相図に基づきモル比1: 2 (ONO-802: 2CyD) のβ-及びγ-CyD固体複合体を調製し, それらの溶解性, セロハン膜透過性, 坐剤基剤 (Witepsol H15) からの放出性を検討し, ONO-802の場合と比較した. ONO-802の見掛けの溶解速度並びに膜透過速度は包接複合体形成により著しく増加した. また, CyD複合体の坐剤基剤からの放出性はONO-802単独に比べて著しく優れていた. これらの知見はONO-802のバイオアベイラビリティの向上及び製剤化に際してCyDの有効利用を示唆するものである.