著者
下石 和樹 安楽 誠 庵原 大輔 平山 文俊 門脇 大介 陣上 祥子 丸山 徹 小田切 優樹
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.2, pp.55-60, 2018-02-10 (Released:2019-02-10)
参考文献数
8

Because it is essential to restrict phosphorus intake in dialysis patients, we investigated the phosphorus content per daily standard dose for eight different types of Chinese medicine and 12 different supplements, all of which are typically used by dialysis patients. Phosphorous contents in the range of 3-12 mg were detected in all of the Chinese medicines. Although 11 of the 12 kinds of supplements contained phosphorous, the levels were less than those in the Chinese medicines. The highest phosphorus content among those supplements was found in glucosamine, with a phosphorous content of 6 mg per dose. The phosphorous contents of glucosamine samples obtained from five different companies were all different. Taking these findings together, the intake of phosphorus by dialysis patients heeds to be restricted and the phosphorus contents of Chinese medicines and supplements need to be taken into consideration, by evaluating the total phosphorus intake per day for such patients. Pharmacists should pay attention to maintaining the serum phosphorus level within a reference value by effectively using a phosphate binder if necessary.
著者
平山 文俊 庵原 大輔
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

シクロデキストリン (CyD) の包接作用を利用して、溶液媒介性結晶多形転移ならびに結晶成長速度の制御を試み、以下の知見を得た。① アセトヘキサミドを 2-ヒドロキシブチル-β-CyD含有水溶液から再結晶すると、新規結晶多形 (Form VI) が得られた。新規多形 Form VIは安定であり、他の結晶多形 (Forms I~V) に比べて高い水溶性を有した。② 2,6-ジメチル-β-あるいは2-ヒドロキシブチル-β-CyD含有水溶液からアスピリンを再結晶すると晶癖は板状から針状結晶に変化した。2-ヒドロキシブチル-β-CyDは多形転移あるいは晶癖制御剤として有用であることが明らかとなった。
著者
平山 文俊
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.525_3, 2021 (Released:2021-06-01)

結晶多形を有する化合物が溶液から晶析する時,熱力学的安定性の低い準安定形が先に晶析し,その後安定形が出現する現象をオストワルドの段階則(Ostwald’s step rule,Ostwald’s rule of stages)といい,Whilhelm Ostwald(1909年ノーベル化学賞受賞)により提唱された理論である.結晶化の第1段階である1次核発生速度は,溶液の過飽和度と結晶核の界面エネルギーに依存するが,核発生では後者の影響が大きくなるため,高過飽和度では界面エネルギーが小さい準安定形の晶析が優勢となる.なお,オストワルド・ライプニング(Ostwald ripening)は,同一多形でも結晶の大きさに不均一性がある場合,小さい結晶が溶解し,大きい結晶が成長する現象をいう.
著者
上釜 兼人 栗原 正目呼 平山 文俊
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1990, no.10, pp.1195-1199, 1990-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

アルキル化β-シクロデキストリン誘導体[ヘプタキス(2,6-ジ-O-メチル)-β-シクロデキストリン(DM-β-CyD), ヘプタキス (2,6-ジ-O-エチル)-β-CyD (DE-β-CyD)] を用いて,プロスタグラソジンE1(PGE1)の安定性の改善と錠剤からの放出速度の制御を企図した。PGEユの固体状態における安定性はCyD複合体化により向上し,その効果はDE-β-CyD≦ β-CyD<DM-β-CyDの顧であった。錠剤からのPGE雲の放出速度は,複合体の溶解性を反映して,β-CyDまたはDM-β-CyD複合体化により促進され,一方,DE-β-CyD複合体化により抑勧された。また,PGE,単独錠の放出速度は溶出液のpHの影響を受けたが,複合体錠の場合はpH依存性は小さかった。速放出性のDM-β-CyD複合体と徐放姓のDE-β-CyD複合体を組み合わせたマトリックス錠ならびに二層錠を調製し放出制御を試みた結果,二層錠からの放出挙動は速放部と徐放部の放出速度の和として観察され,一方,マトリックス錠はゼロ次に近い放出パターンを与えた,これらの結果は,親水性と疎水性のCyD複合体を混合使用することにより,薬物の放出速度を任意に鯛御可能なことを示唆した。
著者
平山 文俊 小田切 優樹 上釜 兼人 和久田 徹 稲葉 光治
出版者
公益社団法人 高分子学会
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.643-648, 1982-10-25 (Released:2010-02-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2 5

水溶液中ならびに固体状態における16, 16-Dimethyl-trans-Δ2-prostaglandin E1 methylester (ONO-802) とα-, β-, γ-シクロデキストリン (α-, β-, γ-CyD) との複合体形成を溶解度法並びに粉末X線回折法により検討した. 複合体の安定度定数の大きさはβ-CyD複合体>α-CyD複合体>γ-CyD複合体の順であった. 溶解度相図に基づきモル比1: 2 (ONO-802: 2CyD) のβ-及びγ-CyD固体複合体を調製し, それらの溶解性, セロハン膜透過性, 坐剤基剤 (Witepsol H15) からの放出性を検討し, ONO-802の場合と比較した. ONO-802の見掛けの溶解速度並びに膜透過速度は包接複合体形成により著しく増加した. また, CyD複合体の坐剤基剤からの放出性はONO-802単独に比べて著しく優れていた. これらの知見はONO-802のバイオアベイラビリティの向上及び製剤化に際してCyDの有効利用を示唆するものである.