著者
小川 祐樹 山本 仁志 和崎 宏 後藤 真太郎
出版者
一般社団法人社会情報学会
雑誌
日本社会情報学会学会誌 (ISSN:09151249)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.45-56, 2011-09-30

地域SNSは,地域コミュニティの活性化のための新たなサービスとして期待が集まっているが,災害時などの緊急事態に対応するためのネットワーク基盤としても重要な役割を果たす。近年,SNSのネットワーク構造やコミュニケーション構造の特徴分析は多くの研究でなされているが,災害時の情報共有や復興支援にSNSのどのようなコミュニケーションがなされ,活用されたのかの分析はなされていない。本研究では,佐用町(兵庫県)で発生した大規模水害において,地域SNSがどのような使われ方をしたのかをSNS上のネットワーク分析をおこなうことで明らかにする。具体的には,災害発生以前のコミュニケーション構造と災害発生時のコミュニケーション構造の変化に着目し,日常のどのようなコミュニティが災害時の中心的なコミュニティであったのかを明らかにする。分析の結果,災害直後において災害支援を志向するコミュニティが現れること,また,地域への関心が初期から高いコミュニティは将来への災害対策を志向したコミュニティへと推移すること,さらに,災害発生後に行政への意見を志向するコミュニティが現れることが分かった。
著者
小川 祐樹 野田 五十樹 山本 仁志 後藤 真太郎 和崎 宏 五味 壮平 鳥海 不二夫
雑誌
研究報告知能システム(ICS)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.7, pp.1-5, 2013-03-03

Twitter や SNS といったソーシャルメディアを実現するメディアは,災害時の被災者において非常に有効なツールになると考えられるが,デマ拡散の問題や,現場との情報の共有・調整の困難さなど解決すべき課題は多い.災害時において利用者はどのようなメディアをどのように活用したらよいのだろうか.このためには,各メディアの特性を理解し,その特性に合った情報発信・共有の方法について検討していく必要があるだろう.本研究では,震災時におけるソーシャルメディア違いによる話題の違いを明らかにするために,Twitter と地域 SNS に投稿される記事をクラスタリングすることで話題を抽出し,各メディアでの話題の違いや,その時系列推移を分析する.さらに,記事投稿者の地域をみることで,地域による利用メディアの違いや投稿されるトピックの違いを明らかにする.分析結果より,Twitter と地域 SNS のそれぞれのメディアにおいて,情報共有意図のある投稿について違いがあることがわかった.In this study, in order to clarify differences in topics between social media at the time of earthquake, we conduct a cluster analysis of articles posted on Twitter and local SNS to extract topics and analyze differences in topics between media and their time-series transition. Also, by seeing the regions of the people who posted the articles, we clarify the differences in media used and topics posted among regions. As the result of analysis, as for the differences in topics between media, main topics on Twitter were about worry, anxiety, and false rumors, and main topics on local SNS were about safe confirmation, lifeline, support, and shelters. Also, as for the differences in topics among regions, we found that main topics in afflicted areas were about worry, support, and lifeline and main topics in non-afflicted areas were about anxiety and radioactivity. Also, as the result of time-series analysis of topics, we found differences that soon after the earthquake, various topics were seen promptly on Twitter, and after the earthquake, topics continuously seen on Twitter were about false rumors and fund-raise, and topics continuously seen on local SNS were about support and lifeline.