著者
和藤 幸弘
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.692-698, 2014 (Released:2014-10-25)
参考文献数
6

1995年の阪神・淡路大震災以降,災害医療体制の整備が進められてきたが,2002年の「南海トラフ地震に係る地震防災対策の推進に関する特別措置法」制定を契機に内閣府,厚生労働省によって2005年から広域医療搬送計画と日本DMATの整備拡大が加速度的に推進されている.日本DMATは災害急性期に活動するチームで,2011年の東日本大震災でも全国すべての都道府県から383チームが東北の被災地域で医療活動を行い,広域医療搬送も実施された.この大災害で大規模な日本DMATの活動が稼働することが証明され,2014年現在1,150チーム(586医療機関)が登録しており,さらに拡大が図られている.一方で急性期の医療活動以外の問題点が広く認識された.本稿では広域医療搬送計画と日本DMATについて,また現在の災害医療の問題点について解説する.