著者
森本 康彦 喜久川 功 宮寺 庸造
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.227-236, 2011-12-20 (Released:2016-08-08)
参考文献数
15
被引用文献数
2

eポートフォリオを扱う既存システムは,eポートフォリオ間の関係の管理が困難なため,収集した学習成果物や学習記録と評価活動との対応が取りにくく,学習と評価が切り離されてしまう傾向がある.その結果,学習者は,自身の学習プロセスを把握しにくくなり,eポートフォリオの再利用の促進の妨げとなっている.本研究では,この問題点を解決するシステムの実現を目的とし,eポートフォリオを用いた学習と評価に必要なエビデンス群を有意味な単位で蓄積するための形式的な枠組みを有するeポートフォリオ蓄積文法と,開発した蓄積文法に基づくシステムを開発した.蓄積文法を導入することで,有意味なルールに則り,学習と評価を切り離さずに好ましい構造を保ちながら機械的にeポートフォリオを扱うことが可能なシステムの実現が期待できる.システム評価の結果から,本システムは,学習と評価の一体化を損なわずに,学習プロセス把握,eポートフォリオの再利用を支援し,学習者のリフレクションの誘発を促進することが示された.