著者
勝井 則明 真鍋 美智子 喜多 英二
出版者
耳鼻咽喉科展望会
雑誌
耳鼻咽喉科展望 (ISSN:03869687)
巻号頁・発行日
vol.48, no.Supplement1, pp.3-8, 2005-08-15 (Released:2011-03-18)
参考文献数
4
被引用文献数
2

院内感染における医原性因子の一つであるネブライザーの微生物汚染対策について検討した。本研究では, 病院で使用中のネブライザーの管理方法と微生物汚染度との関連性, ネブライザーの消毒とその効果, 蛇管・鼻管あるいはエアフィルターからの汚染菌飛散の有無, ジェット式および超音波式ネブライザーについての細菌汚染試験, 超音波式ネブライザーの薬液カップの損傷と汚染菌の侵入性などについて調べ, ネブライザーの効果的かつ実際的な汚染防止対策をまとめた。
著者
勝井 則明 西川 文子 中田 春男 喜多 英二 坂本 雅子
出版者
社団法人空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会論文集 (ISSN:0385275X)
巻号頁・発行日
no.61, pp.37-44, 1996-04-25
被引用文献数
3

気化式加湿器においては加湿水が微生物汚染を受けても室内に飛散することは少ないとされているが,高濃度の汚染の場合には飛散することが報告されており,また加湿装置の汚染は加湿能力に大きな影響を及ぼす.本研究では気化式加湿器の代表的な三つのタイプ,すなわち"吸上げ式"・"流下式"および"膜式"について,その微生物汚染を検出率の高い低栄養培地を用いて実験的に研究した.汚染の経時的変化および走査型電顕によるエレメントの汚染状況を調べた結果,加湿装置を微生物汚染の少ないものから順に並べると,"流下式"・"膜式"・"吸上げ式"の順になった.各加湿装置について長所・問題点・改善点などを微生物学的な観点から論じた.
著者
前田 光一 喜多 英二 澤木 政好 三笠 桂一 古西 満 森 啓 坂本 正洋 辻本 正之 竹内 章治 濱田 薫 国松 幹和 奥 大介 樫葉 周三 成田 亘啓
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.68, no.10, pp.1223-1228, 1994

ムチン様glycoproteinを産生するIshikawa細胞の培養系を用いて緑膿菌の温度感受性 (Ts) 変異株によるバイオフィルムモデルを作成し, エリスロマイシン (EM) のバイオフィルム形成抑制効果を検討した.本細胞培養系において緑膿菌Ts変異株は培養開始10日目で通常約40個/well前後のmicrocolony (バイオフィルム) を形成したが, EMは0.2μg/mlの濃度から細胞への菌付着およびバイオフィルム形成を抑制し得た.この系の培養上清中のglycoprotein量は1μg/ml以上のEM濃度で, またelastase, exoenzymeA量は2μg/ml以上のEM濃度で抑制された.以上から細胞培養系での緑膿菌によるバイオフィルム形成抑制効果がEMに存在することが示唆された.また菌体外酵素産生を抑制するEM濃度以下でバイオフィルム形成抑制およびIshikawa細胞からのglycoprotein産生抑制がみられたことから, EMのバイオフィルム抑制効果は細胞側因子への作用の関与がより大きいものと考えられた.