著者
"柳井 玲子 増田 利隆 喜夛河 佐知子 長尾 憲樹 長尾 光城 松枝 秀二"
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.109-119, 2006
被引用文献数
2

"日本人若年男性37名,女性174名を対象に,実測した基礎代謝量を基準にしてタイムスタディ法で算出したエネルギー消費量と,食物摂取頻度調査(FFQg)より得られたエネルギー摂取量との差を△エネルギー量として,食事量の過小・過大評価の実態と要因について検討した. 本研究では,若年男女ともに,エネルギー摂取量はエネルギー消費量より有意に(p<0.01)低く評価された.エネルギー摂取量の過小・過大評価の平均値(△エネルギー量/エネルギー消費量×100)は男性-26±20%,女性-12±26%となっており,女性は男性よりも過小評価率が有意に(p<0.01)低かった.Body mass index(BMI)と △エネルギー量の間には,男女とも有意な(男性p<0.01,女性p<0.001)負の相関関係(男r=-0.463,女r=-0.360)がみられ,BMIが高値の者ほど食事量を過小に見積もっていた.また女性の「やせたい」という意識は食事量の過小評価量を有意に(p<0.01)大きくさせていた.同様に「体を動かす心がけ」という意識は女性の過小評価量を有意に(p<0.05)大きくさせていた.逆に「栄養バランス」を意識する女性は過小評価量が有意に(p<0.05)小さくなっていた.同様に「朝食を食べる」「欠食をしない」女性や「夕食時間を決めている」男性は,過小評価量が有意に(それぞれp<0.05,p<0.01,p<0.001)小さくなっていた.これらの結果から,食事量の過小・過大評価には身体的要因や社会的望ましさといった心理的要因と共に,食に関するライフスタイルが関わっていることが示唆された."