著者
國嶋 俊輔 鳥丸 猛 大宮 泰徳 赤田 辰治
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.127, 2016

白神山地には世界最大級のブナ林が分布しており、世界的にも希少な森林生態系が形成されているが、地球温暖化により現存のブナ林存続が危惧されている。本研究はブナの持つ環境適応能力を調べることにより、白神山地の環境保全に役立てることを目的としている。産地の異なるブナ実生の乾燥耐性を比較解析するため、青森県の白神山地、岩木山、鰺ヶ沢、岩手県の安比高原、山形県の戸沢村、鳥取県の大山など、合計7か所の異なる産地由来のブナ実生全90個体をコンテナ毎に9個体ずつ植え、対照区44個体、乾燥区46個体に分けて、樹高と幹直径の成長量と葉面積を比較解析した。その結果、乾燥区においては対照区に比べて肥大成長が遅延し、葉面積が減少する傾向が見られたが、個体数が限られていた為にどちらも有意な差としては検出されなかった。一方、乾燥ストレスにより強い発現誘導を示す<i>FcMYB1603</i>の機能解析を行うため、シロイヌナズナに遺伝子導入して恒常的に発現させたところ、長期の乾燥に対する強い抵抗性を示した。このシロイヌナズナ形質転換体を用いたマイクロアレイ解析によって、転写因子FcMYB1603の標的遺伝子を同定するための網羅的な探索を行っている。