- 著者
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人見 英里
國廣 明子
乃木 章子
安藤 真美
- 出版者
- 一般社団法人 日本家政学会
- 雑誌
- 一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 60回大会(2008年)
- 巻号頁・発行日
- pp.327, 2008 (Released:2008-11-10)
【目的】生体には解毒代謝機構が備わっており、肝臓が重要な役割を担っている。真の解毒代謝といわれる第二相解毒代謝では、第一相解毒代謝で水酸化された化合物がグルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)等の抱合酵素により、より水に溶けやすい形となって体外に排出される。このGSTを誘導する食品として、ブロッコリーを代表とするアブラナ科野菜が知られているが、調理操作を行った場合のこれら野菜の解毒酵素誘導活性については未だ検討されていない。そこで本研究ではアブラナ科野菜に対し一般的に行なわれる調理操作を施し、GST誘導活性能の変化について検討した。
【方法】試料には、葉わさび、花わさび、はなっこりー、菜の花、ブロッコリースプラウト、カイワレ大根を用いた。これらの野菜に一般的な調理法である茹で、湯通し、電子レンジ加熱などの加熱操作を行い、生および加熱野菜をエタノールで抽出した。これらの抽出液をラット肝臓由来RL34細胞に投与し24時間培養後のGST活性をCDNB法により測定した。
【結果】生の葉わさび、花わさび、はなっこりー、菜の花は、高いGST誘導活性を示した。葉わさび、花わさびは湯通しにより、90℃の湯を用いた場合では非加熱に比べGST誘導活性は低下したが、80℃の湯を用いた場合では高まる傾向がみられた。ブロッコリースプラウトについては、湯通し後GST誘導活性が高まる傾向がみられた。カイワレ大根については、湯通し後もGST誘導活性は非加熱の場合とほとんど変わらず高いままであった。以上の結果から、野菜に加熱操作を施すことは野菜のGST誘導能を高める効果を持つことが推察された。